2015.08.29

接着剤の欠点を補う”かんざし”の効果がよく分かる実例を見つけました。【No.1294】

ソリウッドが普段どんな事をやっているのか、働いている人間がどんな事を考えているのか、どんな商品を扱っているのか、皆さんに知ってもらうためにSNSを使って情報発信をしています。なるべく1日1回FacebookとTwitterで小ネタを配信しているんです。昨日投稿したネタが意外と”いいね”数が多かったので、ブログでも紹介しようと思います。

たまたまランチで入ったお店でとても勉強になる物を見つけました。かきあげうどんを頼んだのですが、かきあげが載っているお皿が竹を組んだものでした。角は45度にカットした部材を接合しています。45度にカットした部分は木口なので、接着剤の効きが悪くなります。そのため”かんざし”という部材を横から入れることで強度を上げます。

150829_1.jpg

写真を見てもらうと分かるでしょう。下から途中まで接着が切れて隙間が生じています。でもかんざしが入っている所は接着が切れてません。かんざしの効果あり! 

とっても分かりやすい教材になるので写真撮っちゃいました。良い物見られました。ちなみにここのお店は無垢材をたくさん使っていて、テーブル天板にはケヤキの無垢材が使われていました。かきあげもカラッと揚がっていてとても美味しかったです。

以上がFacebookに投稿した内容です。Twitterでも同じ内容の物を投稿しました。(140字の制限があるので、だいぶ内容を削りました。)

例をあげた箱は竹でできているものですが、木でも一緒です。45°で加工することを”留め”と呼んでいます。箱はもちろん、額などでも多用される仕口です。留めにする利点は、木口が見えなくなるという点にあります。木口が見ないとスッキリとした見た目になります。見た目には利点がありますが、木の生物的構造上どうしても避けられない欠点があります。それは木口面の接着の強度がでない事です。

接着剤も日々進歩していて現在ではかなり強力な接着剤が販売されています。ソリウッドでよく使用している接着剤は水性高分子イソシアネート系という種類の接着剤です。この接着剤はかなり強力で適切に接着してあれば、接着面は木部より強い状態になります。

このような強力な接着剤でも木口の接着というのは、問題があります。まず、木口と木口の接着というのは接着強度がでません。そのため、木口と木口を接着して長さを長くすることはしません。2000ミリのテーブルを製作するときは、2000ミリ以上長さがある板を使用します。長さ1000ミリの板が2枚あっても2000ミリにすることは出来ないんですね。

で、”留め”です。45°に切っても断面はほぼ木口です。木口は導管の縦断面がモロに抜き出しになるために接着剤を吸収してしまうんですね。だから接着強度がでないと言われています。実際に木口面に接着剤を塗ってみると分かるんです。塗ったそばから接着剤が乾いてしってしまうんです。

というわけで単純に”留め”の接着だけでは接着強度が保てません。そのため、のちのち使用していると留めで接着したところに隙間があいてきてしまいます。

これも防止するために”かんざし”という部材を入れます。上の写真でも”かんざし”の存在が分かりますね。”留め”の横から溝を切って、そこに接着剤を塗った板を入れます。こうすることで木口面同士の接着面だけでない状態になります。

もう一度冒頭の写真の箱を見てみると、”かんざし”が入っている部分は接着が切れていません。”かんざし”の効果がちゃんとでていそうです。この箱、下側にも”かんざし”を入れておけば接着が切れることが無かったのではないかと思います。見た目的にも下側にもうひとつ”かんざし”を入れた方がバランスが良いですけどね。コスト面で1箇所しか入れられない状況だったのでしょう。

瑞木@相模湖

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