2015.07.21

ラップ巻きした部分の含水率が落ちていない!【No.1255】

梅雨明けして着実に夏に近づいていますね。暑い日が続いています。ジメジメした季節が終わったので、無垢材を扱う者にとっては少し安心してはいますが。木材は乾燥はさせないと使用することができません。伐倒した直後の木は水分でみちみちています。製材した直後の板は含水率が70%近くあります。無垢材家具として使用するためには、含水率10%ぐらいにしないといけません。

木材乾燥は家具製作の前段階でとても重要な行程です。多くの家具工房は、乾燥済みの木材を購入しています。ソリウッドでもストレートカットテーブルや棚類に使用する板は人工乾燥済みの板を材木屋さんから仕入れています。ウォールナットやチェリーなど北米からの輸入材は現地で人工乾燥されています。大量の木材を製材して、乾燥させているメーカーの技術力はとても高くて現地乾燥はとてもよく乾いています。もともとアメリカは日本より乾燥しているのでより乾きが良いです。現地からコンテナで海上輸送されてきたにも関わらず低い含水率を保っています。工房に届いたウォールナット材を含水率を計測してみると8%ぐらいになっています。

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海外からの輸入材はこのようにまとめて鉄帯で縛られています。これをバンドルと呼んでいます。1バンドルは1㎥から2.5㎥ぐらいの板が含まれています。大量に使用する材はバンドルで購入することもあります。しかし、多くの場合はバラで材木屋さんから購入しています。

耳つきテーブル用の板は未乾燥材を仕入れて、独自の木材乾燥庫で乾燥させています。工房内に木材乾燥庫がある事で使用できる板の幅が拡がります。未乾燥材の仕入れは材木市場に出向いて、自分の目で選んでいます。自分で材木市場に足を運ぶことで様々な板を仕入れる事ができます。材木屋さんは売りやすい板を集める傾向にあります。それはそうですよね。売れそうにない板を仕入れる事は在庫が増えて負担になってしまいますから。売りやすい板というのは、欠点の少ない板です。節や割れ、カタチが悪い板を仕入れる事を材木屋さんはあまりしません。でも、そういう板の中にも魅力ある板があるんです。材木市場ではそういう魅力ある板を仕入れる事を目的の一つにしています。

木材は乾燥中に割れや反りが入ります。これがあるために木材乾燥は難しいですね。せっかく仕入れた板も乾燥中にパックリ割れたりすると、計画通りに使用することが出来なくなります。なので、なるべく割れや反りを少なくするように乾燥させないといけません。

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割れの最大の要因は乾燥初期の乾燥進度の違いにあります。木口は導管の断面が剥き出しになっているため、乾燥が早く進みます。水分が抜けると木は縮みます。木口付近は乾燥して縮もうとしているのに、他の部分はまだ乾燥してなくて縮まない。そして耐えきれなくなって割れてしまうのです。なので、木口の乾燥を遅らせると割れは防げます。

上の写真は木口にラップを巻いたところです。ラップを巻けば、乾燥を遅らせる事ができるはずです。この状態で木材乾燥庫に入れてみました。

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ラップ巻きした板を乾燥庫から引っ張り出して含水率を計測してみました。

びっくりするぐらい乾いていない!!!!

ラップを巻いてある部分は含水率26%。板の中心部分は約8%と十分に乾いているにも関わらずに。

そして木口からの割れも入っていません。

現在はラップをとって乾燥庫に入れています。ラップを巻いていた部分が他の箇所と同じぐらいの含水率になったら乾燥終了です。

木口からの割れがないのが、ラップ巻きの効果かどうかこの板だけで判断することはできません。しかし、実際に含水率が下がっていないのが分かったのは収穫です。いろいろな板で実験してデータを集めてみようと考えています。

瑞木@相模湖

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