2014.06.13

古絵本市で買った木に関する絵本が面白い!

先日このブログでも紹介した「フランソワ・バチスト氏の不思議な絵本市」が今日から3日間限定で開催されています。開催場所は吉祥寺中道通り郵便局の隣の店舗です。ズラリと絵本が並んでいるので前を通れば、すぐに分かります。

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絵本だけの古本市というのは初めてでしたが、とても楽しかったです。特に”絵本好き”な訳ではありませんが、いろいろな絵本を手にとって眺めて見るのは時間を忘れてしまうほどワクワクしました。誰でも一度は読んだことがありそうな有名な絵本シリーズからおおこんな絵本があるんだというものまであって良かったです。

それではこの絵本市で購入した本を紹介します。
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『木の本』高森 登志夫・絵 萩原 信介・文 福音館書店

『TREE』 written by DAVID BURNIE DOLING KINDERSLEY

『森はだれがつくったのだろう?』 ウィリアム ジャスパソン・文 チャック エッカート・絵 河合雅雄・訳 童話屋

まずは『木の本』。ド直球なタイトルですが、中身はまさに木の本。花が咲き始める春先から季節をおって花や実などがどういう形をしているかが樹種ごとにたくさん描かれています。本の中程には、青々と茂る大きな木の絵が描かれています。クスノキ・スギ・ケヤキといった木がどんなフォルムをしているかが一目瞭然です。クスノキは常緑の広葉樹です。背をそれほど高くなりませんが、横に幅広く枝を伸ばしていきます。スギは真っ直ぐに生長していく針葉樹です。枝が横に張り出さないで縦に長いフォルムになります。ケヤキは落葉する広葉樹。そのフォルムの美しさは木界No.1だと思います。枝が斜め上空に向かって伸びていきます。枝が生えていない部分が長く、背の高いケヤキはスリムで頭でっかちなフォルムになります。そうした木は本当に綺麗なんですよね。古くある街道沿いには、立派なケヤキが生えているお家がたくさんあります。そうしたケヤキの形は本当に美しいですよ。しかし、そうしたケヤキも段々と数を減らしてきているように感じます。巻末には登場した木についての解説も載っています。木の事典的な使い方も可能な本となっています。

続いて『TREE』です。写真がかなり豊富に掲載されているので厳密には絵本ではないかもしれませんが、その中身は充実していて素晴らしいの一言です。イギリスの出版社から出版されているので、当然中身は英語で書かれています。ただ、基本的には一つ一つの写真や絵に対する解説やコメントが書かれているだけなので、分からない単語があってもだいたいの意味は想像できます。博物館的な本を作らせたらイギリスが1番なのではないかと思ってしまいます。以前に紹介した『wood』もイギリスの本でした。→博物館のような本を発見!

この本の素晴らしさを伝えるにはどんな言葉が良いのか先ほどから考えているのですが、なかなか良い言葉が思いつきません。大雑把に言うと、日本のこういう類いの本に比べると”マニアック”な感じがします。もう少し良く言うと、”視点が広い”気がします。細かい点ですが、より自然のカタチを現すような気配りがされているように感じます。例えば、紅葉した葉の写真を載せたページでは、綺麗に色が変わっている葉ではなく、中途半端で色が変わりゆく様が分かるような葉の写真が載っています。また、虫に喰われて変形している葉もより大胆な葉が採用されているように感じます。先ほどの『木の本』と見比べてみましょう。
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左側が『木の本』、右側が『TREE』何となく左側の方が綺麗に整っている感じがするんですよね。このページだけでは分かりにくいかもしれませんが、全体的に『TREE』は自然界にはいろいろな形や見方があるんですよと多様性を表現しようとしている気を感じるんですね。博物館的な本『wood』にもそういう気を感じました。こうした解説的な本になると、日本の本は綺麗に見せることに気が向いているように感じます。これは他国の本を見るようになって発見した違いです。人それぞれの感じ方は違いますが、私はイギリスの本の方がアグレッシブでマニアックで、一歩踏み込んだ内容になっているのでワクワクします。

『TREE』が1番気に入った項目はこちら

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枝が折れたり、切られたりした場合に木の内部はどうなるかを図解で解説してあります。しかも、木が上手くリカバリー出来た場合と切断部に水が溜まって内部が腐ってしまっている場合の写真が載っています。ほんと、素晴らしいです。このシリーズがどのくらいの年齢層を対象にしているかはわかりませんが、基本的な解説書というジャンルですらこんな細かい解説がなされている点に感銘を受けました。私が普段目の当たりにしている木の状態がそのまま載っています。なんとなく想像はついていましたが、こんなに明確に解説している本って日本ではほとんど見掛けません。

最後は『森はだれがつくったのだろう?』です。原書は『How The Forest Grew』です。アメリカのマサチューセッツ州の森を舞台に森はどのように変化していくのかを解説している絵本です。現在、広葉樹林になっている場所が200年前はどうなっていたのか?話はそこから始まります。私たちの感覚では森林は太古から森林だったと思いがちです。でも実際はそうでもないんですね。今は鬱蒼とした森林も何百年前は草原だったかもしれないです。今は広葉樹が生えているけど昔は針葉樹が生えていたかもしれない。森が時間の経過と共にどのように変化していくのか、生物学的な論理に基づいて分かりやすいように描かれています。森にせ歴史があるんだと教えてくれる一冊です。感動しましたよ、私は。森の歴史というのは今まであまり考えた事がなかったです。また一つ新しい視点を与えてくれました。

以上の三冊の絵本。私にいろいろと刺激を与えてくれました。絵本と決して子供のためだけにある訳じゃないんですよね。大人にとっても十分に世界を拡げる力になっています。三冊の絵本に出会わせてくれたフランソワ・バチスト氏に感謝です。

フランソワ・バチスト氏の不思議な絵本市 6月15日までの3日間限定開催中です。10:00~20:00
興味がある方はこの絵本市を紹介したブログもお読みください。

木を扱う者らしく木が出てくる絵本を選んでみました。

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