2014.06.10

家族みんなのデスクシリーズに使用する板は………

家族みんなのデスクシリーズを木取りをしてみました。近々、天板用の板を削る予定になっているのでどの板のどこをどのぐらい使おうかという段取りも含めて1枚1枚取り出してみました。

家族みんなのデスクシリーズは、リビングルームなどに置いて家族が共有して使用するデスクを想定して製作しています。家族共有パソコンを置いたり、お子様の宿題をしたり、空いた時間にミシンを置いて洋裁をしたりといろいろと使える便利なデスクと位置づけています。そのため、デスクにつきものの天板下の引き出しなどは省いています。天板と脚のみのシンプルなデスクです。必要な道具はそのつど個人個人の部屋から持ってきて、終わったらまた片づけるという使用方法がベストかなと思っています。

シンプル故に個性的なデスクにするために、耳つきの板を天板に採用しています。今の所、家族みんなのデスクシリーズの天板はすべて1枚板です。1枚板となるとかなり高額になるのではないかと不安になったあなた!ご心配なく!無垢材耳つき板を使用している割にはリーズナブルな価格で提供させて頂いています。

なぜリーズナブルな価格で提供できるのかという秘密は、使用する板にあります。

いろいろと難点があって比較的仕入れ価格を抑えられる板を使用しています。ここでいう難点とは、大きな節がある・腐っている部分がある・釘や針金が埋まっている・変な形をしている・ウロがある・入り皮が半端ない……などです。しかし、こうした難点のある板でも使う長さを短くすれば、なんの問題もなくなることが結構あるんですね。

たとえば、針金が巻き込まれて成長してしまったトチ材があります。2メートルをゆうに超える板ですが、ちょうど真ん中あたりに針金が埋まっていました。針金を埋まっていた部分をカットしてしまえば、1メートルと80センチぐらいの板が採れます。家族みんなのデスクにするのに、ちょうど良い長さの板が2枚採れる訳です。やはり針金が巻き込まれた板は使い途がないと判断されて、質のわりには安く価格設定されていました。

難点というのは、意外と作る人間側から見た問題の事ってよくあるんです。節があったり、虫穴があったり、割れていたりすると作り手からするとその処置をしなくてはいけないから、省きたくなるんですね。省いてしまった方が効率が上がりますから。でも、よく考えるとやっぱり作り手の論理なんですよね。お客様と話していると、”節があった方がかっこいい””虫穴があっても気にしません”とかそういう声をよく聞きます。だったらそういう製品を作ってもいいんだなと思うわけです。

先ほどの針金を巻き込んでしまったトチ材も、人間が針金を巻いたわけです。トチにしてみればいい迷惑です。それでも、なんとかリカバリーして生きていったんですよ。そういう頑張った板をちゃんと仕上げてあげたい。そんな気持ちもちょっぴり入っています。

では、今回チョイスした板を見ていきましょう。
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トチ材です。これより下の部分は大変なことになっています。大部分が裂けていてちょっと使いものにならないかも知れません。あとで使う努力はしますけど… そんな訳で無傷の部分だけを切って使用させてもらいましょう。奥側の耳はカットしてしまうので特に問題ありません。面白い形をしていますが、デスクにするとなると少し主張が強いので大人しく手前側の耳を採用することにしました。

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なんだか非常に汚い板に見えますが、削ってみれば多少は良くなりますから。この写真では分かりにくいですが、腐朽菌が入っています。黒いまだら模様の線のように見えるのが腐朽菌です。乾燥させて水分が抜けてしまえば、拡大することはありません。面白い模様になると思っています。

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ミズメの板です。比較的まともな板ですが、虫穴があったり、全体の形が悪かったりでテーブル天板として大きく使用するのにはあまり向きません。なので、家族みんなのデスクにします。けっこう綺麗な天板になると想像しています。

140610_4.jpg
こちらもミズメの板です。あまりにも表面が汚かったので、軽くハンドプレナーで削ってみました。削ったらなんとなく仕上がりがイメージできるようになりました。割れのような隙間が見えていますね。これなんでしょうかね?入り皮かな?もう少し削れば浅くなると踏んでいます。割れのように拡がるようには思えないので、合成樹脂で埋めてしまえば問題ないかなと思っています。真ん中に一つ虫穴があります。これも合成樹脂で埋めてしまえば使用には問題がありません。

とまあこんな感じでだいたいの木取りをしてみました。あとは削ってみてのお楽しみ。難点を持っている板でも部分的には十分に使えますからね。ちゃんと乾燥させれば。我々のような木工屋が普段手にしている板は、超優秀な板が多いんですね。 材木屋さんは、頑張って使いやすい綺麗な板を集めてきてくれます。非常にありがたいです。でも、そうじゃない板を扱ってみるのも楽しいですよね。木ってほんとにいろんなのがありますから…

明日から材木市場へ仕入れに行ってきます。今回はどんな板に出会えるかな…

瑞木@相模湖

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