2014.06.07

木材を綺麗に仕上げる道具:鉋(かんな)に注目!

今日は1日中豪雨で、高速道路が通行止めになるなど大変な1日でした。電車にも遅れが出ていて、ほとんどの生徒さんがいつもより遅い到着になりました。中にはお昼前にようやく到着する生徒さんもいました。中央道と圏央道が豪雨のために通行止めになって迂回する車が一般道に流れて工房近くの幹線道路が激しい渋滞にみまわれました。

大雨の影響でいつもより生徒さんが少なかったので、iPhoneのアプリを使って動画を撮ってみました。


たまご型のテーブルを製作している生徒さんです。脚を出来上がり、天板の総仕上げに取りかかっています。上手く削れていない部分を中心に仕上げの鉋掛けをしています。鉋は木材を綺麗に仕上げるのにとても優れた道具です。ただし、使いこなせるようになるには時間が掛かります。

鉋は台に刃が刺さっているだけの単純な道具ですが、板は削るとなると調整が必要になります。その調整が非常に多岐に渡るのでどこをどう調整すれば良いのかが分かるには、鉋を使っていろいろと試行錯誤して考えていかなきと身につきません。そのため、木工教室の生徒の中には”鉋嫌い”の生徒さんもいます。でも、嵌まると奥が深くて楽しい道具なんですけどね…
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鉋の台にはカシ材がよく使われています。ほとんどの鉋の台はカシ材でしょう。おそらくカシ材の使用率は90%を越えると思います。鉋台にカシ材が使われる理由は強靱な材ということでしょう。木へんに堅いと書いて樫(かし)ですからね。カシ材は鉋に限らず多くの大工道具にも使用されています。農機具にも多く使われています。道具を作るならカシ材が最適だという風習がいつ頃かに日本全国に広まり、その流れは現代にも受け継がれています。あまりにもカシ材が使われるのが当たり前になっていて、他の木材を使うという発想すらないという雰囲気です。もしかしたらもっと最適な木材があるかもしれませんが………(カシ材以外の鉋台を使ったことがないので、カシ材の良い所も悪い所もいまいち分かっていなですね、私は。)

強靱といわれるカシ材ですが幾度となく木材と摺り合わされるので、必ず摩耗します。そのために鉋台の下側(削る木材に当てている面)の調整が必要になってきます。ちなにに西洋で使われている鉋の台はステンレス製です。よって下端の調整などはしません。西洋鉋は押して使うのが基本です。日本の鉋は引いて使うのが基本。木材を削るという同じ目的で使われる道具も国によってカタチ、使い方がまるで違うのは面白いですよね。かんな同様にノコギリの押す、引くも国よって違います。世界的に見れば、押して使うノコギリのほうが圧倒的に多いと聞いたことがあります。

さて、日本の鉋ですが使う人の力や身体の使い方でも上手く削れるか削れないかに違いが生まれます。初めて鉋を使う生徒さんには、あらかじめスタッフが調整した鉋を使ってもらっています。我々が薄い鉋屑が出るように刃の出方も調整して、使ってもらいますが、同じような鉋屑が出ることはほとんどありません。鉋を押さえる力、押さえる方向、引く力、身体の使い方で、綺麗に鉋屑がでるか出ないかが決まります。私が訓練校に通っていた時に、先生の鉋を使わせてもらった事があります。私の目の前でとても綺麗な鉋屑を先生が出していた鉋ですが、私が掛けたら綺麗な鉋屑は全くでない…そんな事があったのを今でもよく覚えています。しっかりと調整された鉋を使えば半自動的に綺麗な鉋屑が出ると信じていたので、この経験はとても驚きました。かなりのショックも受けました…



鉋でたくさん木を削ると当然切れなくなってきます。教室の生徒さんが鉋掛けをしているのを見ると、刃が切れなくなっているのが分かります。初めのうちは、なかなか切れなくなってきた感触が分からないので切れなくなってもそのまま削っている方が多いです。そうすると逆目掘れが起きやすくなり綺麗に仕上げることができません。では切れなくなっていると判断するポイントはなんでしょうか?

常に注目していなくてはいけないのは、出てくる鉋屑です。切れている内は薄い屑だけが出ています。刃が切れなくなってくると、細かい屑が一緒に出てくるようになります。粉末上の細かい屑が目立つようになったら切れなくなった証拠です。

もう一つは音です。切れなくなってくると切れなくなっている音がします。これを文章で伝えるのは難しいですね。とにかく、切れている鉋と切れていない鉋では削る音に違いがあります。刃が切れなくなった鉋は,少し引きづったような音が出ている気がします。

鉋刃の切れ味は思っているより、長続きしないです。生徒さんに刃が切れなくなってますねと指摘すると、”さっき研いだばかりなんですけど…”という方が多いです。綺麗に仕上げるためにはこまめに研ぐ必要があります。

瑞木@相模湖

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