2013.11.11

ジョージ・ナカシマさんの言葉

先日、東京ビッグサイトで行われたinteriorlifestyle living展に行ってきました。そこに出展していたアメリカ広葉樹輸出協会(AHEC)さんのブースにて無料配布されていた冊子をもらってきました。

このアメリカ広葉樹輸出協会さんはアメリカ広葉樹の普及のために毎年この展示会に出展しています。そこで配布されている冊子はアメリカ広葉樹の紹介やどのように伐採、製材されているのかといった情報がたくさん詰まっていて、とても参考になります。

その冊子、いくつか種類があります。今回、配布していた冊子の中で今まで、見た事なかったような気がした冊子をもらってきました。

それが、この『Furniture Design of George Nakashima,Past and Present』です。
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邦題は『ジョージ・ナカシマの家具デザイン、その軌跡をたどる』となっています。Mira Nakashimaさんとはジョージ・ナカシマさんの娘さんです。

ジョージ・ナカシマさんは、日本で1番有名な木工家でしょう。というか、業界以外にも名が知られている木工家はジョージ・ナカシマさんしかいない気がします。ジョージ・ナカシマさんに影響を受けて木工家になった方もたくさんいるはずです。

ジョージ・ナカシマさんは1905年のアメリカ生まれの日系アメリカ人です。戦前は、日本のアントニン・レーモンド建築事務所で働いていました。同僚には、前川國男さんや吉村順三さんがいました。のちに独立した前川國男事務所に参加、丹下健三さんと知り合ったりと後の建築界の重鎮達と仕事をしていたそうです。

戦後はアメリカで家具製作に取り組みます。ウォールナット材を中心に使用し、今まで捨てられていたような欠点の多い材を積極的に取り入られた家具が評価されています。

この冊子の中に紹介されているジョージ・ナカシマさんの言葉に、全くその通りと思う言葉がありました。

Lumber with the most interest sometimes poses the most difficult problems,as so often the best figuring is accompanied by knots,areas of worm holes,deep openings,checks,cracks and other so-called defects.

非常に面白い材木ほど、えてして非常な難問を突きつけてくることがあります。最良の形状には、節や虫喰い穴のある部分、深い穴、裂け目、割れ目、その他いわゆる瑕と呼ばれるものを伴なうことが、非常に多いのです。

この文は1961年のジョージ・ナカシマ・カタログの巻末文より抜粋されたものだそうです。タイトルは“Solid wood is a challenge.”(無垢板は扱いにくいものです。)

私も節や虫喰いや裂け目がある板はとても面白いと思います。それら全てを製品にすることはできませんが、癒やしの木片などには積極的に使っています。そうした木片の方が、早く売れてしまうのも事実です。

仕入れの際には、どうしても使いやすく、欠点のない板を求めがちです。しかし、全てをそうした板にしないで、面白い板も買うようにしています。上手く活かせられるかは我々の想像力次第です。そうした力を鍛えるためにも、難問を突きつけてくる板に取り組む必要がありますね。

ちょうど、明日から仕入れのための出張に行きます。使うのが困難な材ばかり買ってしまいそうですね。
バランスが大事。自分に言い聞かせつつ、チャレンジしていきます。

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冊子の中にあったジョージ・ナカシマさんが作ったテーブル。ウォールナット材のブックマッチ天板で、そのサイズなんと3200×3200ミリ。1枚の板の幅はなんと1600ミリにもなります。そんな板見たことないです。この幅の板を製材できる機械ってあるんですね。幅1000ミリの板を挽く機械を持っている製材所ですら日本にはそんなにないと思います。1600ミリって………

で、どうやって接いだんですかね? 3.2mもあるハタガネなんてあるのか?特注か。

巨大過ぎて、なにもかもが規格外。困難が多すぎます。

ジョージ・ナカシマさんは『木のこころ 木匠回想記』という本を書いています。イラストが豊富で、ジョージ・ナカシマさんが木をどのように見ていたかがよく分かる本です。私は数年前に読みましたが、また読み返してみようかと思っています。明日からの出張のお供にします。

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