2018.07.10

木材乾燥庫に入れてあった板をチェックしました。【No.2340】

今日は日陰のある午前中に乾燥庫に入れてあった板を取り出してチェックしてみました。乾燥にはあまり良い時期ではありませんが、2年ほど天然乾燥させておいた板なので、それなりに乾いているかなという感じです。6月1日に乾燥庫に入れたのでおおよそ1ヶ月ちょっと乾燥庫に入っていたことになります。目指すのは含水率10%以下です。木材が乾燥しているかどうかを判断するには含水率を計測するのが、一番適している方法です。製材しているから何年経っているから乾燥していると判断する人もいますが、それだけで乾燥していると判断するのは危険です。現に2年ほど天然乾燥させた板であっても含水率は20~30%ほどでした。まあ、乾燥している地域で風通しのよい場所で天然乾燥していたのならまた話を変わってきますが… 単に年数だけで判断するのは良くないです。

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チェリーの板です。木口を見ると反っているのが分かると思います。少し両サイドが上に持ち上がっているのが分かりますよね。これは典型的な反り型をしています。木材は両面が同じ環境に置かれている場合、木表(立木の状態で樹皮に近かった方の面)側にV字に反ります。この写真の板も木表側にV字に反っています。乾燥段階でこのぐらいの反りは普通に生じます。(この板が反りやすいとかではなくこのぐらいの反りはどんな板にも起きる可能性があります。)

一旦このように反ってしまった板でも削って平面を出せば全く問題なく使用することができます。もう100%反らないとは断言できませんが、しっかりと乾燥した板であれば再び大きく反ることはあまりありません。

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どれだけ乾燥させればいいかという明確な基準はありません。用途によっても違います。建物の構造に使う木材の場合は含水率20%以下になっていれば乾燥していると判断するようです。しかし、建物の内部で使う家具用材はもっと乾燥していないとダメです。現在の住宅は気密性が高くなっているため、部屋内の気乾含水率は10%ほどと言われています。そのため家具用材の場合は含水率が10%ほどになっていることが望ましいのです。

上の写真の数字はその地点の含水率です。水分計を当てて箇所の含水率です。8・13・11となっています。この部分は板の中心に近い部分です。その中でも外側の方が含水率が低くなっています。板の中心部分はどうしても水分が抜けにくいです。なので板のいろいろな部分を計測すると板の中心部分が一番含水率が高いことが多いです。木口近くの端は水分が抜けやすく、含水率は低めです。そのため、板の中心部分の含水率を計測しないと意味がありません。板の端が含水率10%以下になっていても板の中心は含水率が20%以上あることもあります。

なので、上の写真の板はもう少し乾燥させる必要があります。やはり板の中心部分が含水率10%ほどになっている方が安心です。

今回含水率を計測した板の中でチェリー材は結構乾燥していました。後もう少しといった感じです。でも、ウォールナット材の方は部分的に含水率が高い箇所がありました。ウォールナット材は周辺部分は早く水分が抜けるのですが、中心部分は中々水分が抜けないところがあります。なので、ウォールナット材の場合は特に中心部分の含水率を計測するのが重要です。

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写真が暗くて少し分かりにくいですが。両サイドは含水率が10%以下になっているのに真ん中は33%!!! 他の樹種ではあまりないのですが、ウォールナットではよく見かけます。

おおよそ乾燥している材は木取り案も考えました。

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こちらのチェリー材はブックマッチで耳つき2枚はぎテーブルが製作できそうです。ブックマッチとは本を開いたときのように2枚の板をはぎ合わせることを言います。同じ丸太の連続した板でないと作ることができません。木口近くにフケや割れがあるため長くは使用できなくW1500~1600mm程度になるはずです。それでも4人掛けには問題ない大きさに仕上がります。

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ちょっと余談ではありますが、外で天然乾燥させていた板は表面が汚れています。砂や石も付いています。その板をそのまま機械に通すと砂や石で刃物を傷つけてしまうことがあります。なのでデッキブラシなどでこすって砂や石を落としてから加工をした方が良いんです。

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