2018.05.14

将棋名人戦で将棋盤や将棋駒を使わなくなるのか?【No.2283】

将棋の名人戦7番勝負が現在行われています。名人戦は毎年4月から6月にかけて行われます。今年の名人戦は佐藤天彦名人対羽生善治竜王で行われています。現時点で佐藤名人が1勝、羽生竜王が2勝となっています。藤井聡太六段の活躍や加藤一二三九段の影響で将棋界に注目が集まっています。そのため将棋の話題に触れる機会が多くなっています。

そして将棋の対局で必ず必要なのが将棋盤と将棋駒です。ご存知のように将棋盤や将棋駒には木材が使われています。しかし、コンピューターを使った対局が可能になった時代において、いつまで将棋盤や将棋駒が使われるのか気になる問題です。木を扱う仕事をしている私にとっては気になる木の問題です。私は趣味が将棋で将棋を指していますが、もっぱらスマートフォンでネット対局をしています。将棋盤や将棋駒を使った対戦は小さい時に父や弟とやって以来していません。というわけでアマチュアの趣味の将棋はネット対戦が主流になっていくはずです。いつでも好きな時間に簡単に対局ができてしまうからです。深夜や早朝であっても数秒で対戦相手が見つかってしまいます。ネット対局はとても便利なんです。

しかし、現時点では名人戦などのプロ棋士によるタイトル戦で将棋盤と将棋駒を使わなくなることは当分ないはずです。将棋は江戸時代からある伝統的な文化です。なので、伝統を守る意味ですぐに将棋盤や将棋駒を使わなくはならないでしょう。そして将棋盤や将棋駒に使われる素材も木であることは変わらないと思います。なぜ将棋盤や将棋駒に木が使われるようになったかは定かではありませんが、将棋が始まった時点で身近な素材が木であったというのが大きな理由でしょう。そして色々な木を使ってみて将棋盤や将棋駒に適した木材が決まっていったはずです。

アマチュアが使う将棋盤や将棋駒は木に限らずプラスチック製品も使われています。私が持っている将棋駒はプラスチック製です。本当は木の将棋駒が欲しいですが、年に数回も使わないものにお金はかけるのは気が引けてプラスチック製の将棋駒を買いました。確か、千円もしなかったはずです。木の将棋駒になると安いものは1000円台、高いものは物凄く高いです。それでもちゃんとした木製の将棋駒は3000円から5000円は出さないと駄目そうです。木の将棋駒は乱暴に扱うと割れたり、欠けたりしてしまいます。その点、プラスチックの将棋駒は丈夫で木製の将棋駒よりかは長持ちするようです。

180514_2.jpg

将棋盤に関しても価格はピンキリです。数千円のものから何百万円もするものまであります。価格の高い将棋盤は榧(かや)の木が使われています。榧の将棋盤や碁盤は最高級品とされています。将棋の名人戦で使われている将棋盤は榧製のものが多いはずです。タイトル戦で使われる将棋盤や駒は対局をするホテルなどが所蔵しているものや地元の名士が所有しているものなどが使われることが多いようです。タイトル戦が行われる前日に検分というのが行われて、そこで使用する部屋や将棋盤、将棋駒を対局者が確認します。その様子は各タイトル戦のブログで知ることができます。ブログを見る限り、検分で将棋盤や将棋駒にケチがつくことはほぼ無いようです。しかし,前日に確認をするということは対局者が気持ちよく指せる将棋盤や将棋駒があるということでしょう。

将棋駒の素材で最も良いとされているのは柘植(つげ)です。その中でも御蔵島で取れた柘植は最高級品とされています。私は柘植材を見たことがないのでどのような木材か分かりません。写真を見る限りでは、やや黄色の褐色です。杢が入っているものもあるようです。柘植材はとても貴重で手に入りづらくなっています。そしてその代用としてよく使われるのがシャムツゲです。東南アジアで取れる木です。シャムはタイの旧名なのでおそらくタイが原産の木なのでしょう。シャムツゲという名前で呼ばれていますが、おそらくツゲとは違う木です。柘植の代用品として使うからシャムツゲという名前が付けられたのでしょう。木材界では価値のある木に外見が似ている木材に似たような名前をつけて流通させる習慣があります。ツゲ以外にもマホガニーの代用品としてアフリカンマホガニーという名前をつけたりされています。そしてそのような代用品でない本当の柘植材には本柘植と呼ばれています。頭に”本”が付くのです。わざわざ”本”をつけずに単に柘植と呼べばいいのにと思ってしまいますが… 将棋盤の榧も本榧と表記されているのが多いです。

伝統のある将棋名人戦であっても木の将棋盤や将棋駒を使わずにコンピューターを使ったネット対戦になる可能性もゼロではないはずです。名人戦を開催するに当たってかなりの額が使われているはずです。しかし、ネット対戦にしてしまえばそうしたコストを大幅に削減できるはずです。将棋のタイトル戦のスポンサーの多くは新聞社です。大手の新聞社であっても新聞の購読者数は年々減ってきているので、今まで通りにスポンサーを続けていくのは難しいかもしれません。そうした流れの中で、ネット対戦へということが起きてもおかしくないですよね。将棋ファンとしてはいつまでも和服姿の対局者が将棋盤を挟んで、パチっという心地良い音を響かせていて欲しいですが。

180128_profil.jpg

お問い合わせContact

TEL:0422-21-8487
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-28-3 2F
(営業時間: 12:30〜18:00/定休日:火・水曜日)
お問い合わせフォーム
Facebook Twitter Instagram Pinterest