2017.04.25

家具工房が木材乾燥庫を持つ意味。【No.1899】

私の高校の同級生が主宰者の1人である建築事務所 A+Sa さんがブログを再開されました。少しお手伝いした内容が紹介されています。興味のある方はぜひ読んでみてください。

A+Sa ブログ

ブログも毎週更新していくようなので楽しみですね。A+Sa さんは建物の図面を描くだけでなく、施工部隊もあって自分たちで家具を作ったり、ハンズオンアプローチという方法論で多面的に建築に取り組んでいる設計事務所です。ソリウッドにある木材乾燥庫のひとつはA+Saさんに建物の設計してもらいました。施工もA+Saさんにしてもらいました。設計を担当した代表の荒木さんも自ら作業してくれましたよ。

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もちろん今でもこの時に作った木材乾燥庫を利用して木材を乾燥させています。

木材乾燥庫の話が出たので、今日は木材の乾燥の話をしたいと思います。木を利用する上で乾燥はとても重要な行程です。ですが、その割には木材乾燥って結構ブラックボックス的な要素が強く、誰がどうやって乾燥させているのかはハッキリしていないことが多いです。

昔から木材を乾燥させて使用していたことには変わりありませんが、最近では大量な木材を早く乾燥させる技術がいろいろと開発されて使われています。従来の天然乾燥方法だけだと、木材を乾燥させて使用できるようになるまで2年3年と掛かってしまうこともありました。それってとても非効率的でなかなか利益に結びにくかったんです。そこで人工的に木材を乾燥させる方法が開発されました。最も一般的な人工乾燥方法は温度と湿度をコントロールした室内に木材を入れて短期間で乾燥させる方法です。庫内の温度が高いもの、低いものなどがあります。室内温度によって高温乾燥、中温乾燥、低温乾燥に分けられています。高温乾燥は室内温度を100℃近くまであげる乾燥方法です。温度が高いので当然乾燥するまでの期間が短く効率よく作業する事ができます。最も普及しているのは60℃~70℃くらいで乾燥させる中温乾燥方法です。この方法だと乾燥庫に入れて乾燥終了までおおよそ2週間ほどになります。ソリウッドでも中温乾燥に分類される木材乾燥庫を持って使用していました。現在はその乾燥庫を壊して跡地に低温乾燥型の新しい乾燥庫を作りました。

低温型の乾燥庫は40℃くらいの温度で木材を乾燥させます。温度が低いので水分が抜けるまでの時間は掛かりますが、その分木材に与えるダメージは少ないです。高温で乾燥させると木材の組織が破壊されてしまうと言われています。その点低温乾燥はそうした心配がありません。ソリウッドで導入している低温型乾燥庫はCO2の排出もほとんどないので環境配慮型の乾燥方法とも言えると思います。

ソリウッドで製作している耳つきテーブル天板はソリウッドの木材乾燥庫で乾燥させた板が多いです。これらの板は未乾燥状態の板を仕入れて乾燥させています。乾燥済みの耳つき板を仕入れることも可能ですし、実際に人工乾燥が済んだ板を仕入れることもあります。でも、乾燥を自分たちで行うことで木材に掛かるコストを減らすことも可能になります。

また自前の乾燥庫があることで木材の乾燥具合を自分たちでコントロールすることも可能になります。材木屋さんから乾燥材を仕入れてもその乾燥具合はまちまちです。中には十分に乾燥しきれていない板もあります。ソリウッドでは工房に乾燥庫があるのでそうした板は乾燥庫に入れて追加乾燥させることも可能になります。乾燥の定義は材木屋さんによって異なります。人工乾燥させた板を乾燥材と言う材木屋さんが多くなっていますが、なかには天然乾燥1年ほどでも乾燥材と言う材木屋さんもあります。天然乾燥が1年だと十分に乾ききっていない場合もあります。乾燥を材木屋さんまかせにしてしまうとその点か曖昧になってしまいます。家具工房が自前の乾燥庫も持つ意味はこんな所にもあります。

瑞木@相模湖

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