2016.10.07

木材乾燥は難しい、けれど挑戦する価値はある。【No.1699】

10月に入って1週間が経ちました。なんとなく肌寒い気候になってきましたね。季節の変わり目は体調を崩しやすく苦手なので日々緊張感をもって生活しています。10月に入ると木材業界はシーズンインといった感じでなんとなく慌ただしくなってくる感じがします。国内も伐倒シーズンに入ったため新しい丸太も徐々に市場に並び始めます。今年のシーズンはどんな板に出会えるだろうかとワクワクします。

仕入れた板は外で天然乾燥を半年から1年ほど行います。なるべく風通しの良い所に置くのがベストですが、スペースの関係で必ずしもそうなるとは限りません。風通しがそれほどよくない場所であっても桟積みしておけば自然と板の水分は抜けていきます。乾燥庫に入れる前の乾燥具合が乾燥庫に入れる時間に影響を与えるので、なるべく乾燥させておきたいので、天然乾燥の期間を設ける訳です。水分量が多い板をすぐに乾燥庫に入れてしまうと、割れや反りがでやすくなります。焦らずにじっくり乾燥させた方が成功する確率が高くなります。

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先日、木材乾燥庫内の板を入れ替れました。最新の乾燥庫にはチェリー材とカバ材を入れました。どちらも耳つきはぎテーブル用の板です。厚みは60mm程度。すでに天然乾燥で1年ほど乾かしていたので、含水率は部分的に20%を切っていました。これぐらいまで乾燥していると乾燥庫に入れてからの時間を少なくすることができます。チェリー材もカバ材も比較的水分の抜けが早い樹種だと思います。特にカバ材は水分の抜けが良いです。乾燥中に反りやネジレが出ることもありますが、それほど乾燥が難しい樹種ではないですね。チェリー材も同様です。全体的に水分が抜けてくれるので乾燥管理がしやすいです。

逆に乾燥管理がしづらいのがウォールナット材です。ウォールナット材は板の周辺部分と中心部分で水分が抜ける速度が全然違います。周辺部分はすぐに水分が抜けていきます。ところが板の中心部分はなかなか水分が抜けてくれません。部分によって水分量が違う状態は割れや反りの原因になるのでなるべく均一に水分を抜いていきたいのですが、なかなかそうなってはくれません。こういう点が木材乾燥の難しい所ではないでしょうか。

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もうひとつの乾燥庫にはイタヤカエデ材とヤマザクラ材を入れました。この2樹種は乾燥が厄介な樹種です。イタヤカエデ材とヤマザクラ材ともに乾燥中によく動きます。割れや反り、捻れが大きくでます。カエデ系の板は捻れが強くでる傾向にあります。幅広い板であっても乾燥中の捻れによって幅広く使用できないことがよく起きます。なので、カエデ材は幅広く使用することを半ば諦めています。2枚はぎテーブルが出来そうな幅の板でも真ん中で割って4枚はぎにすることが多いです。今回は1番下にイタヤカエデ材を4枚入れてあります。上にたくさんの板を置いて少しでも動きを少なくしようという魂胆です。といっても気休め程度にしかなりません。いくら上に重しの板を置いても関係なしに動き場合は動きます。

ヤマザクラ材も乾燥中に反りやネジレが強くでる樹種です。チェリー材はそうでもないので、同系統のヤマザクラ材はよく動きます。上の写真の下の方に写っているヤマザクラの板は、動きをより少なくするために天然乾燥の期間を長くとっています。これが吉と出ると良いんですが… ヤマザクラ材は目が詰まっている板とそうではない板で板の動き具合が違うと感じています。目が詰まっている板の方が動きが少ないです。目が粗めのヤマザクラ材は手が付けられないくらい動くことがあります。天然乾燥だけでも大きく捻れることもあります。今回入れたヤマザクラ材は目が詰まっている方なので、ちょっと期待しています。上手く乾燥が出来れば綺麗な耳つきテーブルができるはずです。

木材乾燥はなかなか思い通りにはいきません。木の水分が抜けて収縮する際に割れたり、反ったりするのを完全に止めることはできません。出来るだけ動きを少なくするためにいろいろと工夫しているのですが、必ずしも上手くいくとは限りません。でも、何もしないよりはいいので努力をし続けるしかないんですね。全ては皆さんが素敵と感じてもらえる耳つきテーブルを提供できるようにするためです。

瑞木@相模湖

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