2016.06.02

幕板って何だろう?【No.1572】

このブログに「幕板」「まくいた」といったキーワードでいらっしゃる方が一定数いらっしゃいます。普段ではあまり聞き慣れない単語ですが、家具を探している場合にふと遭遇することがあるかと思います。

そもそも「幕板」ってなんでしょうか?

三省堂大辞林によると

横に長く張った板。甲板の下に幕のように張った板など。

とあります。テーブルなどを探している際に出てくる場合は後者のほうの意味になります。

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言葉で表すより写真のほうがわかりやすいと思います。こちらは以前納品させて頂いたウォールナット材のダイニングテーブルです。天板の下に脚と脚の間に板が見えるかと思います。これが幕板です。

では、この幕板、何のためにあるのでしょうか?

幕板の役割はテーブル全体のデザインや素材などによって異なってきますが、主に2つの機能があります。

強度をもたせる

無垢材天板の反りを防ぐ

少し説明していきます。無垢材テーブルの場合、天板だけでかなりの重量になります。そのため、脚が細いと天板の重さを受け止められず少し揺らすとぐらつく場合が出てきます。通常は脚を太くすることでぐらつきを防止しますが、スッキリとしたデザインにしたい場合、どうしても脚を細くする必要があります。そこで脚の強度を補強するために脚と脚の間に幕板をつけます。ソリウッドでは、基本的に幕板をつけないスタイルのテーブルを製作していますが、上の写真にあるような細身の脚であるType MTの脚だけは短手のみに幕板がつきます。他の定番3タイプの脚の場合は、脚が太かったり、脚をつける角度を工夫することでぐらつかない強度を保っています。

幕板の本来の働きはどちらかというと2番目の天板の反りなどの狂いを防ぐ意味合いが強いです。天板が無垢材の場合、周りの環境に合わせて木が伸縮します。その際に、天板が反ってしまうことがあります。無垢材をテーブルにする場合、この反りへの対策が重要になります。天板の下に何かつっかえになるものがあれば天板は反りにくくなります。つまり、天板の下に幕板があることで反ろうとする力を抑える役割を担っていることになります。ですが、幕板を天板にがっちり固定してしまうと、今度は木の自然な伸縮を妨げることになり、却って狂いの原因になってしまうことがあります。そのため、天板の下、四方に幕板を張る場合、直接ビスなどで天板と幕板を固定することはせず、幕板に長円の穴をあけ、そこにコマと呼ばれる木片をかまして固定します。ちょっと言葉だけの説明では伝わりづらいと思います。何か画像をお見せできれば良いのですが、この方式はソリウッドでは採用することが滅多にありませんので、適切な写真がありません。興味のある方は、無垢材テーブル コマ 幕板といったキーワードで検索してみてください。

さて、幕板の役割を述べてきましたが、実は幕板がつくことでテーブルの機能面でデメリットが生じてしまいます。無垢材テーブルを検討する際にはそこをしっかりと抑えておくことが大切です。

幕板があることで

肘掛けがついている椅子が天板下に入らない

椅子に座って足が組めない

といったデメリットがでてきます。通常、幕板は50ミリ程度の幅の板を使います。天板の下から50mmほど幕板が下がることになるので、その分、天板下のスペースが狭くなります。肘掛けのある椅子だと肘掛けの上まで630mm程度ある場合が多いので、天板の厚みを含めると高さ700mmのテーブルだと肘掛けが幕板に当たってしまいます。そのため、肘掛け分、余計にスペースをみる必要が出てきます。また、椅子に座って本を読んだり、リラックスする際に足を組む姿勢になることがあると思います。そうなると、幕板が邪魔になり上手く足が組めません。些細なことかもしれませんが、意外と気になってしまい、購入した後に後悔してしまうことがあるかもしれませんので事前の確認が大事です。

ソリウッドでは、長手方向に幕板がないテーブルを製作することを基本としています。理由は今挙げたデメリットを解消したほうが、長く使えるテーブルだと思うからです。幕板をなくすために、天板の裏に幕板の代わりになる反り止めを埋め込み、反りへの対策を施す工夫をしています。そうすることで、安心かつ心地よく過ごせるテーブルになっています。

賢木@吉祥寺

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