2016.04.10

クリスマスツリーだけが用途じゃない、樅の木【No.1519】

長野県の諏訪大社の御柱祭が行われたというニュースを見ました。6年に1回行われる大祭で、祭りのクライマックスでは、長さ17メートル、太さ1メートルの御柱を斜度30度の坂から落とす木落としが行われます。こちらの様子はニュースで必ずといっていいほど写しだされるので、みたことがある人は多いと思います。ニュース映像では木落しがメインですが、これ以外にも大木を街中を挽き、川越えをしたり、日常の生活ではあまり見ることがないので、想像がつきませんが、一度実際に私も昨日何気なく、この木落しの様子を見ましたが、ちょっと気になったので調べてみました。

気になったこととは、もちろんあの御柱の正体です。ニュース映像では、すでに枝が取り払われ、その周りに人が沢山いるのでどういった丸太なのかはよくわかりませんでした。調べてみると、御柱に使われるのは、樅の木だそうです。ご神木というと、スギやヒノキ、ケヤキ、クスといった樹種のイメージがあったので、樅と聞いて少し意外でした。日本では、樅というとクリスマスツリーのイメージが強いので、日本の伝統的な行事に使われるイメージが乏しいのも一因かもしれません。クリスマスツリーの樅の木は、スラッとはしていますが、幹の太さが1メートルを超えるものあまり見たことがありません。実は、諏訪大社の御柱に使われている樅とクリスマスツリーとして使われるモミの木では、厳密には違う種類になります。クリスマスツリーに使われるのは、ウラジロモミといわれる木です。ウラジロモミはその名の通り、葉の裏側に白い筋模様が入っています。普通の樅の葉にはこのような模様は入っていません。

樅の木は、マツ科の常緑針葉樹になります。製材すると、白っぽい茶褐色をしていて木目はまっすぐ通っている感じの木材です。強度としては、針葉樹としてはやや硬めになります。建材などに使われることもありますが、最近ではそこまで頻繁に使用されている感じの材ではありません。家具にもあまり使われません。

樅は日本に自生する針葉樹ですが、ソリウッドでは広葉樹を専門に扱う家具工房です。そこで、改めて針葉樹と広葉樹の違いをまとめてみます。

この2つの分類は見た目である程度、見分けることが出来ます。針葉樹は、まっすぐ縦に成長し、葉が細く細かいのが特徴です。一方、広葉樹は枝葉を広げるように成長し、葉が大きく広いのが特徴です。マツやスギの葉を見たことがある方も多いと思いますが、、先を触るとツンツンしていて触ると少し痛みを感じます。広葉樹では、トチの葉が大きく特徴的です。この2つは、組織の成り立ちが異なります。製材した材は、一般的に針葉樹が軽く柔らかく、広葉樹は重く、硬い性質になります。それぞれ用途も異なり、針葉樹は柱や梁などの構造材に、広葉樹は家具や床材に使われることが多いです。

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上の写真の2枚の板はヒノキとスギ材です。毎月行っているテーブル選び方講座で針葉樹と広葉樹の硬さの違いを実感して頂くために用意しているものです。写真ではわかりづらいですが、2枚の板には、爪で押した跡やピーッと線状の跡が沢山ついています。これは、講座の中できて頂いた方に爪を立てて触ってもらっている結果です。この2つの樹種は表面が柔らかく簡単に跡がついてしまいます。ですので、テーブルのように、モノを置いて使ったり、その上で書き物をしたりする家具にはあまり向いているとはいえません。

その変わり、温かみを感じる肌触りは抜群で、多少傷はついてもいいけど、触感の良さには替え難いということで、フローリング材などには好んで使われています。

一方、広葉樹は一部の例外を除いて、爪を立てただけでは傷は目立ちにくいです。ですので、頻繁に人が触るテーブルなどに適しています。オイルで仕上げれば補修はご自宅でも出来るとはいえ、限度があります。傷が深く入ってしまうと、紙ヤスリの番手をあげて磨いても目立ちにくくなることも考えられます。

ちなみに、冒頭で紹介した諏訪大社の御柱祭で使われた御柱は使い終わった後は、どこかに奉納され祭られるか木札や箸などに加工されるようです。

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