2015.10.15

重い木、軽い木【No.1341】

昨日のブログエントリーでは、25日に行うテーブル選び方講座で話す内容についての触りを書きました。無垢材テーブルを選ぶ際に確認しておくべき3つのことをメインテーマに話をしますが、その3つのこととは「樹種」、「サイズ」、「仕上げ」になります。そのうちの「樹種」について、木の種類は25万種ほどあると書きました。家具で使われるのは、そのうちの一部ではありますが、世界には色々な木があります。そこで、今日はテーブルなどの家具に使われるかどうかは二の次にして、単純にどういった木が存在するのかを紹介していきたいと思います。

ここでは、木の種類といっても森や林に立っている樹木ではなく、伐採され板に製材された木について考えていきます。今日は、製材された材木の重さにスポットを当てていこうと思います。

製材された板の重さは、縦×横×高さをかけ合わせた材積に、比重と呼ばれる樹種ごとに決められている数値をかけて算出することが多いです。比重とは、ある物質の密度(体積あたり質量)と、基準となる標準物質の密度との比と定義されます。つまり、木材でいうと、木材の繊維と空気で出来ていて、比重は全体の材積に対する木材の繊維の量を表す数値といえます。この比重は、材種ごとに異なり、比重の多い材ほど重くなり、比重が少ない材ほど板は軽くなります。言い方を変えると、材質が緻密な木は比重が高く、材質に隙間が多い木は比重が少ないとなります。

広葉樹の場合は、比重が0.6〜0.7ぐらいのものが標準的といえます。中には、比重が1を超えるものがあります。材として最も重いとされているのが、リグナムバイタという樹種です。西インド諸島や中米に生息している木で常緑樹です。比重が1を超えているので、水に沈んでしまいます。リグナムバイタは、木や木工に詳しい方であれば聞いたことはある木だと思います。ですが、テーブルなどの大きな材を必要とする家具には、重すぎてあまり使われません。ソリウッドでも扱ったことがある木で最も重たいとされるのがブビンガ材です。ブビンガ材の比重は0.9もあります。ブビンガ材は、赤道に近いアフリカ諸国で採れる板で、赤身の強い色味をしています。また、木目も激しく、ウヨウヨしている木目が多くでることでも知られている木です。

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ソリウッドでは以前はブビンガ材を使って、店舗用のカウンター天板などを多く製作している時期がありました。そのころの話を聞くと、作る分にはまだいいけど、搬入が非常に大変だったという話をよく聞きます。最近では、価格の上昇や景気の動向で在庫がほとんどありません。引き合いは頂くことがあるのですが、適切な提案が出来ない状況が続いています。重たい木としては、その他にも「黒檀」や「カリン」といった木も比重が1ないし1に近くあります。日本の木で比重が高いのが「アカガシ」です。非常に硬くて強い木なので狂いが少ないのが特徴です。その特徴を活かして、鉋の台や鑿などの柄に使われています。

反対に軽い木をみていきます。広葉樹に比べ、針葉樹は比重が少なく、過ぎは0.38、ヒノキは0.41などになります。これらは、標準的な広葉樹に比べ、軽くて柔らかい材質になります。広葉樹の中で、最も軽いのは「バルサ材」です。皆さんも一度は耳にしたことがある材だと思います。バルサ材は、中南米が主な産地で、軽いため加工も簡単です。鋸などを使わず、カッターで切れてしまうほどです。ホームセンターなどにいくと、工作用の材として販売されています。日本国内でとれる木として、最も軽いのは「桐材」です。桐材は箪笥などに使われますが、注意して扱わないとすぐに凹んだり、傷がついてしまいます。

さて、木材の中でも重い木や軽い木があるのがわかって頂けたと思います。今回、紹介した材は、重さに特徴がある木のみですが、ほとんどの樹種には目安とされている比重があります。この比重を使うと天板などのおおよその重さなどが簡単に計算することが出来ます。色々な樹種の比重を知りたいということであれば、インターネットや書籍で知ることが出来ます。最後に木の特徴を知るのに最適な本を紹介します。

それは、宮本茂紀著「原色インテリア木材ブック」です。この本は宮本氏がデザインされた椅子の背を様々な樹種で製作して写真を撮影し、その画像をそれぞれの材の特徴と一緒に紹介しているものです。

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掲載されている全ての樹種で比重も紹介されています。家具やインテリアに使われるであろう材種はほとんど網羅されています。詳しく読むだけでなく、パラパラとめくるだけでも楽しめる一冊です。材種による違いなどに興味がある方はぜひ手にとってみてください。

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