2015.09.07

木材乾燥と接着剤塗布の重要性を再認識した作業台の修理作業。【No.1303】

はじめにひとつお知らせです。木工芸の分野で人間国宝に選ばれた須田賢司さんの個展が9月23日から始まります。場所は三越日本橋本店の本館6F美術特選画廊です。『人間国宝 須田賢司 木工藝展 –「清雅」を標に–』というタイトルが付けられています。会期は9月23日から29日までとなっていて、入場は無料です。親、子、孫と3代に渡って木工芸という伝統工芸を引き継いできた須田さんの作品を観る事ができます。

以前からソリウッドと親交があった須田さんが先日相模湖工房に来られました。そのときに今回の個展で什器として使用する板のフライスをしました。その板がどんな形で設置されるかも楽しみであります。そしてなにより人間国宝に認定された須田さんの芸術的な作品を観られることが楽しみです。

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須田さんの作品は杢と呼ばれる珍しい木目を活かしたものが多いです。我々では扱う事ができない(材料費が高くなりすぎてしまうため)ようなとても珍しくて綺麗な木目を楽しむことができます。お時間のある方はぜひ展示会に行って、須田さんの技術力と木の美しさに触れてみてください。

さて、本題です。今日のブログエントリーは相模湖工房の近況をお知らせする感じにしようと思います。

少し先延ばしにしてしまっていた事をついにやりました。工房にある作業台のいくつかがグラグラと揺れるようになっていました。脚の貫のホゾが緩んでしまったのが原因です。

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このように隙間があいてきています。このようになった原因はいくつか考えられます。

1.接着剤の塗り方が適切でなかったために接着不良を起こした。
2.木の収縮の影響で接着がはがれてしまった。
3.長年の酷使によって接着がはがれてしまった。

接着剤は現代の木工には欠かす事のできない要素になっています。接着剤の接着強度が上がったことで、今まで出来なかった事にチャレンジすることが出来たりもします。でも、接着剤の塗り方を誤ると本来接着剤が持っている接着強度を得られない事があります。まず、1番大事なのは接着面に満遍なくしっかりと接着剤を塗ることです。木工教室の生徒さんの作業などをみていると、接着面の片側だけしか接着剤を塗らない人がいます。でも、接着剤は必ず接着面の両面に塗ってください。両面に接着剤を塗らないと本来の接着強度を得る事ができません。片側にしか接着剤を塗らなかった場合と両面に接着剤を塗った場合で接着強度に差が出るというのは実験データとして確証されているようです。

そして、しっかりと圧着してください。圧力をかけることで余分な接着剤をはみ出させます。接着剤はその層が薄いほど強度が得られます。接着剤の層が厚いと接着が強度が弱くなってしまいます。まとめると接着剤は接着面の両面に満遍なく薄い層で塗られていると効果が最大になるということです。

今回修理した作業台のホゾを見てみると、接着面ではない所がはがれているケースがほとんどでした。なので、接着不良を起こしていたとは考えにくいかなと思っています。

となると、木の収縮の影響が大きかったのか思います。この作業台はホームセンターで購入した角材と2×4材で製作しています。乾燥が不十分だったということは充分に考えられます。乾燥が不十分だと製作後に縮んでしまいます。割れが入ってしまうこともあります。この作業台の脚も割れが入ってしまっています。この割れのせいで接着剤が切れるもしくは木材が崩壊してしまったのかと推定できます。木材乾燥の大切さを改めて感じました。ソリウッドの製品に使用している木材はちゃんと乾燥させてますのでご安心ください。

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隙間から接着剤を入れてハタガネで締めました。とりあえずこれで当面はなんとかなるかなと…

ハタガネを外して、ゆらしてみたら、揺れは止まりました。これでひと安心。

瑞木@相模湖

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