2015.02.21

木材乾燥を経験すると、木の性質が分かるようになります。

昨日のブログエントリーでは、乾燥済で製作可能な耳つきテーブル用の板について書きました。木材を我々の生活に取り入れるためには、乾燥させなければいけません。今日のブログエントリーは、木材乾燥についてです。

ソリウッドでは、使用する一部の板は自分たちで乾燥させています。自前の人工乾燥設備をもって、自ら木材乾燥をしている家具工房というのは、少ないと思います。自分たちで人工乾燥まで出来ることは様々なメリットがあります。

まずは木材乾燥の基本から。木材は屋外に置いておくだけで自然と乾燥します。製材された直後から水分が抜けていきます。ただし、乾燥が進むのは空気に触れている面のみです。そのため、乾燥前の木材を置く際は桟積みをしておく必要があります。

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こんな感じで板と板の間に桟を挟んでいきます。こうすることで板の表裏が空気に触れることができます。桟を入れずにただ重ねておいておくだけでは、木材の乾燥は進みません。桟積みは木材乾燥の基本です。

木材乾燥が進む要素は3つ。温度・湿度・風です。桟積みした木材は、風通しのよい湿度の低い場所におくのが理想的です。風の通り道がどうかで乾燥進度も変わります。桟積みの下の方は湿度が高くなるので、上部の方が乾燥は早く進みます。地面から少し高くした方が、乾燥しやすくなります。

桟積みして屋外に置いて木材を乾燥させる事を天然乾燥と呼んでいます。天然乾燥は時間が掛かります。少なくても1年以上は乾燥させないと使えるようにはなりません。それでも乾燥不十分の事もあります。

そこで人工乾燥という方法が考えだされました。人工乾燥はいろいろな方法があります。が、基本的には温度・湿度・風を管理して早く乾燥を進めるということです。

製材されたばかりの板は、水分を多く含んでいます。手で触ると湿っているのが分かります。乾燥具合を知るためには含水率という指標を使います。製材直後は、含水率50%以上になっています。

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含水率は木材水分計で計測します。この装置を測りたい木材に当てるとピピッと含水率が表示されます。

家具に使用する木材は、含水率10%程度にする必要があります。住宅の構造材に使う木材なら20%以下ぐらいになっていれば、乾燥材ということになりますが…… 室内に置く家具の場合はもう少し乾燥させておく必要があります。現代の住宅は気密性が高いので、室内が昔に比べて乾燥しています。そのため、それに対応するために含水率を低めにしておく必要があるんですね。

木材乾燥はなかなか上手くいかずに難しい作業ではありますが、これを経験すると木についていろいろな事を知ることができます。樹種によって乾燥の進み具合も違います。乾燥中の割れや反りが出やすい樹種というのもあります。

ウォールナット材は白太と赤太で乾燥の進み具合が全然違います。白太はすぐに水分が抜けますが、赤太はなかなか水分が抜けません。白太の含水率を測っただけでは真の含水率は分かりません。必ず赤太の含水率を測る必要があります。ウォールナットは一度水分が抜けると、元には戻りにくいです。

逆にトチ材は水分が抜けるのは早いですが、すぐに水分を吸って含水率が上がります。このように樹種によって性質が違います。

乾燥が難しい木材というのもあります。反りやネジレが多くでる樹種はロスが多くなるので、注意が必要です。カエデ材は特に乾燥中の暴れが多くでます。幅広く使えないことが多いので、予めその事は頭に入れておきます。なるべくフリーな状態にしないで、桟積みの下の方において重さを掛けておくなどの処置をしておくと少しは効果があります。

ナラ材は、割れることが多いです。幅広い板はほぼ割れが入ると考えておいた方がいいでしょう。

とまあ、こんな感じで木材の乾燥から地道に木と向かいあっています。

瑞木@相模湖

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