2014.10.27

耳つきテーブルの製作は樹皮剥がしという下準備から始まる!

ソリウッドで製作する耳つきテーブルの製作は、耳つきの板を仕入れるところから始まります。仕入れるルートは大きく分けて2つあります。1つ目は、材木市場のセリで仕入れるルート。2つ目は、材木屋さんから乾燥した板を仕入れるルートです。

家具屋の人間が材木市場のセリに行って仕入れをするケースはそう多くないと思います。僕が通っている材木市場は、誰でも参加できるオープンな市場です。しかし、このような材木市場は非常に少ないです。材木市場の競りや入札は、その市場に加盟している材木屋さんのみ参加できる場合がほとんどです。よって我々家具屋の人間が直接出入りできる市場はほとんどありません。いろいろな材木市場で競りや入札に参加したい気持ちもありますが、まあ仕方がないですね。それにたくさんの板を置くスペースもありませんし…

材木市場で扱われるのは丸太と製材された板の両方があります。僕が仕入れているのは製材された板です。これらの板のほとんどは製材されたばかりの未乾燥材です。なので、競り落とした板も乾燥が終わってからでないと使用することができません。

乾燥させる前にもやっておかないといけない事がいくつかあります。

そのうちの1つで重要だけど、大変な作業に”樹皮剥がし”があります。

樹皮がついていた部分を残して使うような板は、樹皮をつけたまま製材する事が多いです。その方が耳が綺麗に保てるためです。耳を裁って使うことが多い小径木は、樹皮を機械で剥いてしるうことがほとんどです。機械で樹皮を剥くと、耳の部分まで削ってしまうことになります。機械剥きの丸太は”耳”が綺麗に残らないんですね。機械剥きの方が圧倒的に時間短縮になりますが、そういう面もあって機械剥きをしない場合もあります。

機械で樹皮を剥いていない場合は、人力で樹皮を剥かないといけません。これが結構やっかいな作業なんです。樹種によってはビッタリと木部に張りついてなかなか剥がれない樹皮もあります。また、伐倒されてからの期間は、保存状態でも樹皮の剥がれやすいものと剥がれにくいものがあります。どっちにしても、力づくで剥いでいきます。

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僕が樹皮剥がしに使うのは、コテのような道具です。別に樹皮剥がし専用の道具ではないです。塗装とかを剥がすのに使ったりする道具のようです。これを樹皮と木部の隙間にいれて玄翁で叩いて剥がしていきます。剥がれやすい樹皮だと1箇所コテを入れて叩くとスルスルと剥がれていきます。剥がれにくい樹皮だとボロボロと落ちてなかなか剥がれてくれません。剥がれにくい樹皮だと、1枚の板の樹皮を剥がすのに30分から1時間ぐらい掛かってしまいます。それでも、剥がしておかないといけない理由があるんです。

それは虫喰いです。樹皮をつけたまま置いておくと、カミキリ虫が卵を産み、そのうち幼虫が耳の部分を喰い散らかします。

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先日仕入れたミズメの板です。すくに樹皮を剥がしましたが、既に幼虫が喰い散らかしていました。樹皮を剥がすと、白いカミキリ虫の幼虫が動いていました。少し喰われるぐらいならいいですが、全面に渡って喰われると本来の耳の様子ではなくなってしまうので少し困ってしまいます。なるべく虫に喰われないように樹皮がすぐに剥がすに限ります。

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こんな感じで剥がしていきます。これだけの板の樹皮を剥がしただけでもかなりの量になります。ちなみにこのミズメの樹皮はとても剥がしやすかったです。

今回剥がしにくかったのは、タモの樹皮でした。
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ちょっと手強かったので、半ば諦めて水を掛けてみました。水を掛ければ少し柔らかくなるかななんて思いましたが、そう単純ではなかったです。時間がなくなったので、しばらく放置してからまた剥がします。乾燥が進むと樹皮が剥がれやすくなる場合もあるんでね……

とまあ、こんな感じの下準備をするところから耳つきテーブルの製作は始まっています。今回樹皮を剥がした板がテーブルになるのは早くても1年後です。

瑞木@相模湖

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