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家具屋で働く双子のブログ
『天然』か『人工』か?バスケボールから家具まで、『革』の選び方最前線
子供がバスケットボールを習い始めたのをきっかけに、私もバスケットボールに関して日々勉強する毎日です。そんな中で、ふと気づいたのが、バスケットボールの「革」と、私たちが普段扱っている家具の「革」に、意外な共通点や進化の物語があることでした。今日は、その興味深い「革」の世界を、私自身の体験や、ソリウッドで扱う家具の視点も交えながら、バスケットボールから野球のグローブ、そして家具の座面まで、一緒に探ってみたいと思います。
子供の頃、体育館にある鉄製の籠の中に入っていたバスケットボールには、あまり良い印象がありませんでした。ずっしりと重く、表面はツルツル滑って、時にはひび割れているものも。正直、「扱いにくいなあ」と感じていたのをよく覚えています。色も濃い焦茶色で見た目も重苦しいイメージがありました。
しかし、最近のバスケットボールはどうでしょう?スポーツ用品店に並ぶボールは、カラフルになり、手触りも驚くほど進化しています。手に吸い付くようなグリップ感、そして何よりもその軽快さ。まるで別物になったかのようなその変化の裏には、素材である「革」の進化が深く関わっています。
「革」という素材は、私たちの想像以上に身近な存在です。スポーツ用品の機能性を左右するだけでなく、毎日座るソファや椅子の快適さ、さらにはファッションアイテムとしての魅力まで、実に幅広い製品に使われています。そして、それぞれの製品に求められる性能や使い心地によって、その素材選びは大きく異なります。
バスケットボールの「革」事情:伝統と革新が共存する世界
かつてのバスケットボールは、主に牛の天然皮革が使われていました。天然皮革のボールは、使い込むほど手に馴染み、独自の吸い付くような感触が魅力でした。特に、熟練のプレーヤーにとっては、ボールが「育つ」感覚や、独特の革の香りが愛着を生む要素でもありました。
そして、この天然皮革の魅力は、現代のトップレベルの試合でも変わらず重視されています。実際、国際バスケットボール連盟主催の国際大会や、日本のBリーグの公式試合球であるモルテンの「BG5000」シリーズは、今もなお天然皮革(牛革)が採用されています。これらの公式球は、吸水性能が高い天然皮革を用いることで、プレーヤーが汗をかいても滑りにくい、優れたグリップ力を実現しています。天然皮革ならではの美しい風合いも、トップアスリートが選ぶ理由の一つと言えるでしょう。
しかし、天然素材ゆえに、製造コストが高く、手入れが大変で、水に弱いというデメリットがありました。湿気を含むと重くなり、グリップ力が低下することも少なくありませんでした。また、天然素材であるため、一つ一つのボールの品質や感触にばらつきが生じやすく、均質な品質を大量に確保するのが難しいという課題も抱えていました。
そこで登場し、大きく進化を遂げたのが人工皮革です。バスケットボールの表面の素材は、大きく分けて天然皮革、人工皮革、そしてゴムの3種類がありますが、初期の人工皮革は、確かに天然皮革に比べて安価でしたが、「安っぽい」「滑りやすい」「耐久性に劣る」といったマイナスイメージがありました。しかし、技術の進化は目覚ましく、今や多くの練習用ボールや、日本の小学生のカテゴリーであるミニバスケットボールの公式球、屋外でのプレーに適したボールなど、幅広いシーンで高性能な人工皮革のバスケットボールが主流となっています。
人工皮革は、天然皮革のような吸水性は持たないものの、非常に高い耐久性を持ち、屋外での使用にも耐えられます。また、製造過程で品質のばらつきが少なく、常に安定したグリップ感を提供できるため、多くのプレーヤーにとって扱いやすい存在です。さらに、天然皮革では難しかった鮮やかなカラーリングや複雑なデザインを可能にし、バスケットボールを単なる競技用具としてだけでなく、ファッションや自己表現のツールとしても楽しむことを可能にしています。このように、バスケットボールの「革」の世界では、伝統的な天然皮革がトップレベルのプレーを支えつつ、人工皮革が幅広い層にバスケの楽しさを届ける、という形で共存しているのです。
野球グローブの「革」最前線:伝統と革新の融合
バスケットボールとは異なり、野球のグローブは今でも天然皮革が主流です。プロ野球選手が愛用するグローブをはじめ、本格的に野球をしているほとんどの選手のグローブが高品質な天然皮革で作られています。天然皮革のグローブは、使い込むほど手に馴染み、プレーヤーの手に合わせて独自の形に変化してくれます。捕球時の「パチン」という心地よい音、ボールが吸い付くような感覚、そして何よりも長く使い続けることで生まれる愛着は、天然皮革ならではの魅力となっています。多くの選手にとって、グローブは単なる道具ではなく、長年の相棒であり、共に成長する存在なのです。
しかし、最近では人工皮革を使ったグローブも登場しています。その代表例が、ウイルソンが開発した「スーパースキン」です。驚くべきことに、このスーパースキンは、バスケットボールに使われている人工皮革の技術を応用して開発されたものなんです。これは、異なるスポーツ分野の素材技術が融合し、新たな価値を生み出した好例と言えるでしょう。
スーパースキンの最大の特徴は、天然皮革の約半分という軽さでありながら、天然皮革の2倍の耐久性を誇ることです。さらに、雨や汗にも強く、型崩れしにくいというメリットもあります。特に、外野手のように広い範囲をカバーし、常に軽量性を求めるポジションや、雨天時でも安定したプレーをしたい投手や内野手にとって、スーパースキンは大きなアドバンテージとなります。天然皮革の持つ「馴染み」と、スーパースキンの持つ「軽さ」「耐久性」「耐水性」という異なる強みが、プレーヤーに新たな選択肢を提供しているのです。
日常生活に溶け込む「革」:家具の座面における選択肢
「革」の選択は、スポーツ用品だけに留まりません。私たちの生活空間を彩るソファや椅子の座面もまた、素材選びが快適さや耐久性、そしてインテリアとしての美しさを大きく左右します。
天然皮革の座面は、その高級感と独特の肌触りで多くの人を魅了します。使い込むほどに色が変化し、深い味わいを増していく経年変化も大きな魅力です。まるでヴィンテージワインのように、時間と共にその価値と風格を増していく様は、天然素材ならではの醍醐味と言えるでしょう。また、天然皮革は通気性にも優れており、夏は涼しく、冬は暖かく感じられるという特性もあります。
ソリウッドで扱う3つの椅子メーカーのうち、宮崎椅子製作所さんといのうえアソシエーツさんの椅子は、天然皮革の座面を選択できます。特に宮崎椅子製作所さんの椅子は、厳選された上質な天然皮革を使用し、熟練の職人技で最高の座り心地と美しさを追求しており、選べる天然皮革の座面の種類も豊富にラインナップされています。ただし、価格が高価であること、定期的な手入れ(保湿クリームの塗布など)が必要なこと、そして傷つきやすいといったデメリットもあります。直射日光に弱く、色褪せやひび割れの原因になるため、配置場所にも配慮が必要です。
一方で、人工皮革の座面は手入れのしやすさ、汚れや傷への耐性、そして何よりも価格の手頃さが大きなメリットです。小さな子供やペットがいる家庭では、飲み物をこぼしたり、爪で引っ掻いたりしても比較的安心なため、非常に人気があります。人工皮革の中でも、ソリウッドでも取り扱いのあるラムースという人工皮革は、引っ掻き傷に強く、耐久性にも優れています。また、カラーバリエーションが豊富で、様々なインテリアテイストに合わせやすいのも特徴です。最近では、天然皮革のような通気性や肌触りを追求した高機能な人工皮革も登場しており、見た目や感触では天然皮革と見分けがつかないほどの品質を持つものもあります。
素材の進化がもたらす多様な選択肢と未来
バスケットボールから野球グローブ、そして椅子の座面まで、私たちの身の回りにある「革」という素材は、それぞれの製品が求められる機能や環境、そして私たちのニーズに合わせて、驚くほどの進化を遂げてきました。
かつては「天然皮革の代わり」といったイメージが強かった人工皮革も、今や技術の進歩は本当にすごいんです。得意な面では、天然皮革に負けないくらい素晴らしい品質にまで進化しています。これは、科学技術が私たちの暮らしをどれだけ豊かにしてくれるかを示す、素敵な例と言えるでしょう。
おかげで私たちは、価格や丈夫さ、お手入れのしやすさ、手触り、デザインなど、色々なことを考えながら、自分のライフスタイルや使い方にぴったりの「革」を選べるようになりました。天然皮革だけが持つ特別な魅力と、人工皮革がもたらしてくれる新しい便利さや快適さ。これらがそれぞれ良いところを活かし合い、さらに製品の可能性を広げてくれることで、私たちの暮らしをもっともっと楽しく、快適にしてくれるはずです。
素材の進化はこれからも止まることなく、私たちの生活をさらに豊かにしてくれることでしょう。次に何か「革」の製品を選ぶ際には、その背景にある素材の物語に、少しだけ目を向けてみませんか?きっと、その製品がもっと愛おしく感じられるはずですよ。
ちなみに息子に「パパも一緒にバスケの練習をしなさい。大人用のバスケットボールを買いなさい。」と言われて買ったバスケットボールは人工皮革のものです。天然皮革のボールはかっこよくてとても惹かれますが、値段が高いので私は人工皮革のボールを選択しました。
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