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家具屋で働く双子のブログ
◎「思いやり」のある家具屋でありたいと思う理由
2回目の登場です、双子の姉です。双子の姉が書くブログ、通称「家具屋のアネブロ」(いま名付けた)をお読みいただきありがとうございます。
今日は家具屋の「思いやり」ついて書きます。
ちょっと胡散臭いですね、家具屋のブログに堂々と「思いやり」だなんて。文字にするとますます胡散臭さぷんぷんです。でもこれ、割と大事なことだと思っているのです。
あたりまえですが、家具は安全でなくてはいけません。使う人みんなにとって、安全でないとダメなんです。
昔、弟(つまり家具屋の双子)が座っていた赤ちゃん用の椅子(いまでいうハイチェア)がありました。スヌーピーの絵柄のビニールクロス貼りのハイチェアでした。脚は金属でした。
いろいろこぼすことを想定して、赤ちゃんが座る座面は濡れた布巾で拭けるようにビニールクロス貼りにして、大切な赤ちゃんが座るんだから頑丈に作らねばということから、脚は金属にして、ということだったんだと思うのです。
いいですね、考えられてます…考えられていたはず、でした。
考えられていたはず…
でも実はその赤ちゃん椅子には欠点がありました。そして私は子どもながらにこれは怖い椅子だなと思っていました。
何が怖いのか。
…それは脚の先端、つまり床と接する部分が、少し外側に曲がる加工がしてあって、座る部分よりも4本の脚の先の方が少しだけ外側に出ていたのです。そういうデザインだったのです。で、何が起こるか。
つまづくんですね、大人が。つまずくというかつま先をぶつけるというか。ちょっと出っ張ったところに足の親指や小指をぶつけて悶絶する、あれです。痛いんです。
幸いなことに私は当時まだ幼稚園児でしたし、赤ちゃんの弟を抱えて座らせるわけでもなく、背も小さくて視点が低いので、そのでっぱりに躓くことも、小指をぶつけることありませんでした。でも怖かったんです。何が?
それは、足先をぶつける母親の「いたっ!」という悲鳴です。
これは怖いですよ。何の前触れもなしに、母親が「いたっ!」と叫ぶのです(そしてたぶんその瞬間多少ならずともイラっとしていたはずで、それはバレバレなんです。)当時4~5歳、まだまだ家にいる時間が長い幼児にとっては、大人が、しかも母親が突然「いたっ!」と大きな声を出す、こんなに恐ろしいものはありません。
ぶつけたつま先はしばらくの間、歯の隙間からすーすー息を吸い込んでケンケンしたり、床を転がったりしているうちにたいていの場合、治ってしまいますけど、それを目の当たりにした幼子に残る恐怖心はなかなか消えません。(こうして、ン十年たっても記憶しているくらいですから。)とはいえ、赤ちゃん椅子は普通何年も何年も使い続けるものでもありませんし、つま先をぶつけるのは痛いけれど命に直結するほどの危険度でもないので、怖い椅子は欠点が露呈されたあとも直ちに撤去されることはありませんでした。
幼児だった私は、うそは抜きにして、けっこう毎日びくびくしていました。そして、「足、気を付けて!」と母親に言っていた記憶すら残っています。あれは母親を気遣う幼児の健気さではなく、単純に突然大きな声を出される恐怖から自分を守るための言葉だったんですねぇ。(たぶんこんなエピソードは私以外だれも覚えていないでしょうし、だいたいそんな話、いま初めて明らかにしたのですけどね。)
ひたすらに大人があの椅子につまづかないようにびくびくしながら、「なんでこの椅子はこんな風に作ってしまったんだろう」と疑問に思っていたわけです。
つまりです。
何が言いたいかというと、あの椅子は、機能面(いろいろこぼす赤ちゃんの性質、大事な子どもをすわらせるんだから頑丈にしよう)は満たしていたかもしれませんが、あと一歩の「配慮(おもいやり)」が足りなかったんじゃないかな、ということです。言い換えてみると、使う人への想像力というか。座らせられる赤ちゃんだけではなく、赤ちゃんを座らせる大人に対するものも含めて。
あれからン十年。
時代は変わり、人々の意識も変わり、いまでは使う人への思いやりのない製品は、家具に限らずみるみる淘汰されています。でも残念ながらまだ「実際使ってみて初めて分かる配慮の欠如」があるモノも少なくないのも現状です。
いま、モノを作って提供する会社の商品を皆様にお届けする立場として、「使う人みんなへの思いやり」は常に頭の片隅にあるのです。「いたっ!」と叫ぶお母さんを恐れる子どもがもう出ないように。家の中が、本当に居心地いいものになるように。それが安全、安心ということなので。
ソリウッドの家具を実際に設計している職人や双子たちは安全性に対するこだわりと配慮はしっかりと持っているので、私が赤ちゃん椅子の原体験を話す必要性もなく、あたりまえのこととして、安全で安心な家具を、これまでも作り続けてきましたし、これからも作り続けていきます。吉祥寺の店舗に立つ私は、折に触れ、あの赤ちゃん椅子の恐怖を思い出しては、展示しているソリウッドの家具に思いやりがあるか、使う人みんなのことを考えられているか、という視点に立ち返ります。やっぱり「思いやり」って大事なんです。文字にすると少し胡散臭くても、大事にしなくてはいけないことなのです。
それと余談ですけど、小さな子どもの前で大きな声で驚かないこと。突然痛がらないこと。私自身が子どもと生活するとき、特に子どもたちが小さかった頃、この点は割と神経尖らせて気をつけていました。これも、原体験からの学び。
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