2014.07.22

木材乾燥のススメ。-乾燥材を購入するより面白いよ-

ソリウッドで使用する木材は大きく分けて2通りのルートで仕入れています。

1.人工乾燥済みの板を材木屋さんから仕入れる。
2.未乾燥の板を材木市場でのセリで仕入れる。

1の場合、木材の価格は立米単価(りゅうべいたんか)が使われます。立米単価とは、1m×1m×1mの塊でいくらというのを表しています。立米単価が50万円の木材は、1m×1m×1mで50万円になります。実際には1m×1m×1mの板を買う訳ではないので、1枚1枚の値段は計算しなければなりません。計算するには板の体積を出せば良い訳です。木材業界では、板の体積を材積と呼んでいます。例えば、長さ2m、幅200mm、厚み34mmの材積は、2m×0.2m×0.034m=0.0136㎥になります。この材積に立米単価を掛けてあげれば、板1枚の値段が分かります。0.0136×500,000=6,800となるので、この板は6,800円になります。

この計算ができないと木材の仕入れをすることが不可能です。実際に板を購入する際は1枚1枚の板の値段を計算する訳ではなく、立米単価を比較して検討します。ただ、最終的にいくらになるかはこの材積計算をしなければなりません。立米単価がこのくらいだったら、最終的な製品の価格がどのくらいになるかを予め頭に入れておけば、いちいち細かい計算をしなくても採算の目処がつきます。

材木屋さんから仕入れる場合に注意すべきことは、乾燥材なのか、未乾燥材なのかをハッキリさせる事です。乾燥してあるのか、乾燥してないのか。乾燥は天然乾燥なのか、人工乾燥なのか。これで値段がだいぶ変わります。初めて取引する材木屋さんの場合は必ずこの事を確認しておいた方が失敗がありません。

2の場合は、板1枚いくらという勘定になります。僕が仕入れにいく市場で出品されている板はほとんど未乾燥材です。それもまだ製材されたばかりの瑞々しい板が多いです。なので、セリ落とした価格に板の乾燥代が掛かることを忘れてはいけません。ソリウッドの場合は、未乾燥材は自社の乾燥庫で乾燥させるのでその分の手間代を上乗せして計算します。乾燥を外注する場合は、その代金を上乗せして計算する必要があります。人工乾燥代も立米単価で計算される場合が多いようです。

当然ですが、乾燥した材より未乾燥材の方が安いです。しかし、未乾燥材はすぐには使えないので、安いからといって飛びつくのは危険です。乾燥中の割れや捻れなどによるロスも自分たちの責任になります。未乾燥材を買って、乾燥中に割れても材木屋さんに文句は言えませんからね。その事をしっかり頭に入れていないと駄目なんです。

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さてこの2つのルート、家具屋にとってはどちらがお買い得なんでしょうか?

やっぱり乾燥材を材木屋さんから仕入れる方が最終的にはお買い得なのかなあ……

でも、面白さは断然2の方です。自分で板を選んで、自分で乾燥させる、木の事を学ぶには最適な方法です。いろいろな発見があるから面白い! なんなら、製材から自分たちの責任で行う方が良いですね。さらに理想を言うなら木を育てるところから……
日本には、木を育てて、伐倒して、乾燥させて、家具を作るという行程をすべて自分たちで行っている家具屋さんはないはずです。でも、これで商売が成り立つなら1番面白い方法だと思います。

木工を仕事にしたいと思っている学生さんにお薦めするのは、一度製材されたばかりの板を何枚か購入して、桟積みして乾燥の過程を記録してみることです。スペースの問題があるから、誰でもできる事ではないと思いますが、実家に庭があるなどの好条件の方は是非やってみて欲しいですね。もちろん、人工乾燥までさせろなんという無理は言いません。天然乾燥でもどういうペースで水分が抜けていくのかといった事は学べます。含水率計で含水率を計測して記録するだけで、いろいろな事が分かってきますよ。訓練校などでもこういう実習があれば良いと思います。

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思い通りに板が乾燥して喜ぶわたし。(ちょっと古い写真で、すみません。)

瑞木@相模湖

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