2013.10.25

植物生態学者・宮脇氏が植えているタブノキってどんな木?

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植物生態学者の宮脇昭さんの『森の力』(講談社現代新書)を読みました。帯にもあるように、宮脇氏は国内外1700箇所以上で4000万本以上の木を植えてきた植物生態学者です。宮脇氏は、その土地に現在どのような植物が生きているのか、そして人間が手をかけなくなった場合にその土地にはどのような植物が生きるはずなのかを調査してきた方です。その過程で、土地本来の森が世界中から消えつつありある現状に嘆き、土地本来の森を甦らせるために森づくりを始めたそうです。

その宮脇氏が1番愛着を持って植えているのがタブノキなんだそうです。

=タブノキは葉を落とさない常緑広葉樹=

タブノキは、常緑広葉樹の代表格で主に西日本の海岸沿いに生えています。東京に住んでいるとあまり馴染みのない樹ですが、九州などでは街なかでもかなり植えてあるポピュラーな樹種だそうです。常緑広葉樹とは、漢字の通り1年中落葉しない広葉樹の事です。タブノキの他ではクスノキ・カシ・シイなどがあります。

=タブノキで耳つきテーブルを製作したよ。=

数年前の材木市場で、タブノキの板を5枚仕入れました。その時、初めてタブノキの存在を知りました。知らない木でしたが、赤褐色がキレイだったので思い切ってセリ落としました。まあ、好奇心ですね。

社長などにタブノキってどんな木か聞いてみましたが、扱ったことがなく分からないとの事でした。とりあえず、乾燥です。乾燥時によく動く木なのか、割れる木なのか、ネジレやすい木なのか、こういう事が事前に分かっているのと分からないのでは、乾燥の仕方も変わってきます。しかし、タブノキは初めて乾燥させる木だったので、普通に乾燥庫に入れてみました。

結果…

割れました… 

木口から入った割れが板の中心あたりまで伸びていました。かなり派手に割れましたよ。タブノキは割れ易い、要注意な樹種でした。これは今後に活かせる良い経験になりました。

5枚のうち、3枚を使って耳つき3枚はぎのテーブルを作成しました。削ってみると、ちょっと吸い付くような独特の触り心地でした。他の木ではあまり感じる事が出来ない感覚。塗装をすると、他の樹種との差はほとんど感じられなくなりましたが。

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こちらがそのタブノキ耳つき3枚はぎテーブルです。ショールームに展示していたところ、気に入って頂いたお客様の所へ行くことになりました。表面を一度サンディングしたので少し色が薄くなりましたが、時間が経つともう少し濃い色に変わってきます。チェリーのような色ですが、チェリーのような艶が出てこない点が異なっています。

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アップしてみると、なんとなくクスノキの木目と似ているような気がします。色は全然違いますが。もしかしたら常緑広葉樹っぽい木目なのかもしれませんが、その辺は定かではありません。

=タブノキはあの人気食材の仲間=

最後に豆知識を。このタブノキ、実はアボカドの仲間なんです。近年、若い女性を中心に人気があるあの実がなる木です。アボカドはメキシコなど中央アメリカに生えている木です。日本にある樹で1番近いのがタブノキなんです。タブノキにも実がなるそうですが、アボカドほど大きくはなりません。写真で見てみると、ちょっと大きいブルーベリーみたいでした。中身はアボカドと同じような緑色をしています。味はイマイチのよう……

瑞木@相模湖

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