2013.09.27

左利きの苦悩 木工を教える立場で

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私は左利きです。今まで特にそれで困ったことはありませんでした。でもここ数年、困る事がでてきました。それは、人に教えるという場面です。木工教室で、初めて鉋や鑿を扱う生徒さんに教える場面があります。ここで問題が発生しました。私が示す手本が左利きの身体の使い方なのです。

ピンとこない方もいると思うのでわかりやすい例を。

あなたが書道教室に通い始めました。ところがその教室の師範が左手で筆を持って字を書いています。その師範が熱心に手本を見せながら指導してくれるのですが、右手で筆を持つあなたには、そのコツが見えづらいと思います。困りますよね。(書道の師範が左手で書くということは実際あり得ないと思いますが。)

鉋、鑿、鋸、玄翁は道具そのものは左右関係ない形をしています。一見問題無さそうに見えます。しかし、使用するときの体勢が右利きと左利きで変わってきます。筆や鉛筆などもそうですね。道具に右、左の違いはありません。

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これが右利きの人の身体の使い方です。左手で鉋の頭を持ち、右手で鉋の尻を持ちます。右足を少し引いて立ちます。

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左利きの人はこれが逆になります。右手で鉋の頭を持ち、左手で鉋の尻を持ちます。左脚を少し引いて立ちます。これが自然な身体の使い方です。

左利きの人は全体の10%ぐらいと言われています。圧倒的に少ないんです。当然、木工教室の生徒さんも右利きの方ばかりです。しかも初めて鉋や鑿に触れる方がほとんどです。初めは教えてくれる人のマネをするのが自然です。でも左利きの手本をマネしても右利きの人にとってはやりづらい訳です。なんの疑問も持たずにそのままマネしてやりづらい体勢を身につけてしまう可能性もあります。

そこで、右利き仕様で道具が使えるように訓練しています。少しずつですが、右利き仕様でこなせるようになってきました。鉋掛けは比較的簡単に出来ました。一番厄介なのは、玄翁。右で玄翁を振るのが難しいです。左手で鑿を持って、右手で玄翁を振る。一応、形にはなってますが、やってる本人にめちゃめちゃ違和感があります。スピーディーにこなせません。モタモタやっていると、『あれ、この人本当に先生?』と生徒さんに疑問を持たれてしまいます。初めから信用を失うのはキツイですからね。

とまあ、見よう見まねでなんとか右利き仕様でも使えるようにはなってきました。そしたら新たな問題が…

自分がいま取っている姿勢が右利き仕様なのか、左利き仕様なのかが分からなくなってきちゃいました。

はじめは右利き仕様だと違和感があったので、自分ではっきりと違いが認識できていました。しかし、右利き仕様に慣れてくるとだんだんと違和感がなくなります。玄翁はまだ違和感がありますが、鉋はほぼありません。『あれ、どっちだっけ?』と迷う事があります。

そんな時は一度道具をおいて、とっさに取る体勢を確かめています。とっさに取る体勢はまだ左利き仕様の体勢です。生徒さんを混乱させる原因を自分が作ってしまっています。もう少し、訓練が必要ですね…

瑞木@相模湖

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