2017.06.20

材木市場で板を仕入れるには乾燥もしっかりやる必要があります。【No.1955】

ソリウッドで製作している耳つきテーブル天板に使用している板は私が材木市場に行って仕入れているものがほとんどです。材木屋さんから乾燥した板を仕入れる場合もありますが、多くは生材を市場で仕入れています。

乾燥材ならすぐに使用することができます。耳つきテーブルに使用する板は外国産の板であっても日本国内の製材所で製材されているものがほとんどです。外国から輸入されてくる板の多くは既に耳が裁ってある材です。よって耳つき板を手に入するためには丸太のまま日本に輸入して日本で製材する必要があります。材木屋さんは丸太を購入して製材し乾燥をして、我々のような家具工房に売る訳です。ソリウッドが材木屋さんから仕入れる材は人工乾燥がされている材です。現代の気密性の高い住宅では室内がとても乾燥しています。よってしっかりと水分が抜けていない材でないと割れや反りなどが生じ易くなってしまいます。ただ、どんなにしっかりと乾燥させておいても割れや反りが100%起こらないことはありません。木の構造上、どうしても割れたり、反ったりはしてしまいます。よく乾燥させることはそうした動きを最低限に止めるために必要な事なんです。

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乾燥庫による人工乾燥と対比されるのが天然乾燥です。天然乾燥とは、板を桟積みして風通しの良い場所に置いて乾燥させる方法です。桟積みすることで板と板の間に風が通って水分が抜けていきます。天然乾燥に必要な要素は気温、湿度、風になります。特に天然乾燥の場合は風がしっかりと抜けるように桟積みすることが重要です。よく天然乾燥OO年と聞くことがありますが、年数が長ければ長いほど良いというものでもありません。大切なのはその板がどのような場所にどのような状態で置かれていたかです。湿って風通しの悪い場所に板を置いておいても乾燥はそれほど進みませんからね。場所にも寄りますが、天然乾燥だけで充分に乾燥させることはなかなか難しいです。特に最近の気密性の高い住宅への適性を考えると天然乾燥だけでは不充分です。人工乾燥もしてしっかりと水分を抜く必要があります。

材木市場で仕入れた木材は基本的には乾いていません。製材されたばかりの板が多いです。こうした板は水分を多く含んでいます。なかには製材されてから既に時間が経っていてある程度水分が抜けている板もあります。でもそうした板はごく一部です。よって乾燥をさせる必要があります。

ソリウッドでは天然乾燥と人工乾燥を併用して乾燥させます。まず天然乾燥で含水率を落とします。急激に乾燥をさせると割れや反りの原因になるので、乾燥初期はなるべくゆっくりと水分を抜くのが望ましいです。半年から1年ほど天然乾燥をすれば、含水率は20~30%で落ち着きます。そうしたら木材乾燥庫に板を入れて乾燥を続けます。ソリウッドで採用している木材乾燥庫は低温で乾燥させるタイプですので、ある程度時間が掛かります。木材乾燥庫に入れて2週間~1ヶ月ほどで含水率は10%以下に下がり始めます。そこからもうしばらく様子をみて、乾燥庫から引き出します。

乾燥は時間が掛かる作業ですし、必ずしも上手くいくとは限りません。中にはパックリと割れてしまう板もあります。それなりの金額で仕入れた板がパックリと割れてしまった時はショックですが、これも木という自然素材を扱う上では避けては通れない事です。他の使用用途を考えます。それでも自社の乾燥庫で乾燥させるメリットはあります。それは自分の好きな板を仕入れることができるからです。材木市場には無数の板が並んでいます。その中から自分が気に入った板を選ぶことができます。材木屋さんもたくさんの在庫をもっていますが、市場ほどの量はありません。さらに材木屋さんの場合はすでにその材木屋さんの選択がされています。基本的に材木屋さんはより多くの人が買ってくれそうな板を揃えています。まあ、当たり前ですよね。節がなくて木目の綺麗な板は誰でも欲しい訳です。でも、それ以外の板は売れずに在庫になる可能性が高いので仕入れることはしません。でも市場ならそういう板も多く並んでいるんですね。だから自分の感性で様々な板、綺麗な板もあれば、欠点を多く含んでいるけど格好良さがある板を仕入れることができます。だから材木市場に行って仕入れをするんです。

瑞木@相模湖

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