2017.03.20

無垢材は自然素材なので、思い通りにいかないことばかりです。【No.1863】

無垢材という自然素材を相手にしていると思い通りにいかないことがたくさんあります。自然素材だからこその質感や雰囲気というのがあるので私たちは無垢材を使用している訳です。が、やはり「あーあ、割れてしまった。とても綺麗な板だったのに…」ということが多々あります。

無垢の木を相手にしていると1番悩ませられるのが乾燥です。木はたくさんの水分を含んで生きています。伐倒されたばかりの木には当然ながらたくさんの水分が含まれています。製材目的の木は水分の少ない秋から冬にかけて伐倒されますが、それでも水分はたくさん含まれています。切り口に手を当ててみると湿っているのが分かります。中には切り口の木口から水分が滴り落ちる木もあるそうです。水分をたくさん含んでいる木は柔らかく、接着や塗装にも向きません。なので木は必ず乾燥させてから使用します。丸太のまま置いてあっても中の水分が抜けるのには時間が掛かってしまいます。出来ればすぐに製材して板状にしてしまった方が早く乾燥します。製材した直後の板は含水率が50%以上あります。材木市場に並んでいる未乾燥材はたいてい含水率が50%以上あります。仕入れた材を相模湖工房に持ち帰って水分計で含水率を計測すると30%~60%の間に収まる割合が高いです。多くの板は含水率が50%を越えています。

室内で使用する木材の含水率の目安は10%前後です。要するに含水率50%以上ある板を含水率10%程度まで乾燥させなくてはいけないということです。単純に水分が抜けてくれるだけなら良いのですが、そう簡単にはいきません。水分が抜けると当然体積が小さくなります。その体積の変動に伴って、板が割れたり、反ったりします。

木は乾燥の過程で少なからず割れが入ります。どんなに上手く乾燥させたとしても木口から少しは割れが入っています。乾燥を終えて木口からの割れが10cm以内に収まっていたら上出来です。すでに仕入れる段階で割れが大きく入ってしまっている板もあります。木材の教科書では含水率が30%以下になってくると細胞内の水分が抜けてくるので、割れたり反ったりすると書かれています。しかし、実際には含水率が30%以上ある木でも割れたり反ったりしています。外側と内側で乾燥する進度が違うことが割れたり反ったりする大きな要因です。なので、含水率が30%以上あっても陽が当たって表面が少し乾燥しただけでビキっと割れが入ってしまいます。

そのため、木口には水分が抜けてにくくするために割れ防止剤を塗っておきます。専用の塗料が売られていますが、それが無いときはボンドを水で溶かして塗ったりもします。強力な割れ防止剤はたしかに割れませんが、水分が抜けにくくなります。割れなくても水分が抜けないのでは意味がありません。やはり使用する側からすると早く乾燥させたいんですね。なので、あまりに強力な割れ防止剤は乾燥の妨げになってしまいます。この辺は難しい問題です。ちょうど良い具合が分かれば良いんですが……

一時期実験的に木口にラップを巻くこともしてみました。ラップを木口に巻いた板を乾燥庫に入れたんですね。確かに割れにくい気もしましたが、必ず割れないというほどの効果はありませんでした。ラップを巻いた板でも割れてしまった板もありました。手間を考えると費用対効果はそれほど高くない気がして今はやっていません。

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木口にラップを巻いた板。こんな風にラップを巻いたんです。理論上は効果あるはずなんですが…またやってみても良いかもしれませんね。この板は絶対割れて欲しくないという板には巻いてみますか?気が向いたらまたやってみてこのブログでも結果をお知らせしますね。

まあ、とにかく自然素材を相手にしていると上手くいかないことばかりです。ちょっと目を離した隙に割れていた、反っていたなんてことがたびたび起きます。なので、板の扱いや管理には気が抜けません。悩ましいですが、そうした対応をしながら無垢材を加工するのも一種の楽しみなのかもしれません。

瑞木@相模湖

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