2015.08.30

耳がみえるかみえないか【No.1295】

耳つきテーブルの天板のカタチというのは、樹皮部分のカタチと板のどちらの面を表にするかで決まってきます。

樹皮部分のカタチは、その木がもつカタチがそのまま活かされるので、全く同じものはありません。木によって、ほとんどまっすぐに近いカタチの耳もありますし、中央部分が少しくびれているもの、反対に中央部分が膨らんでいて太鼓型になっているものなど違いが出てきます。

もう一つ、板のどちらの面を使うかで耳の部分がよく見えるか見えないかというところが変わってきます。製材された板は、丸太の状態の時に外側に近かった面を表とし、この面を木表と呼びます。反対に丸太の中心に近かった面を木裏と呼びます。ストレートカットテーブルの場合は、木表が上にこようが木裏が上にこようが、見た目に影響はありません。ですが、耳つきの場合は、印象がガラッと変わる場合があります。

例えば2枚の板を接ぎ合わせて天板をつくる場合、組み合わせは3つになります。2枚とも木表を上にする、2枚とも木裏を上にする、1枚を木表、1枚を木裏にするの3通りです。

2枚とも木表を上にして天板を製作した場合、木口面から天板を見ると、上辺が短く、下辺が長い台形のカタチをしています。下辺のほうが長いので、天板を横からみると耳の部分がよく見えます。

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わかりづらくて恐縮ですが、上の写真が2枚とも木表を上にした耳つき2枚はぎテーブルです。左側の耳部分がよく見えているのはわかって頂けると思います。耳がよく見えるかについては、見た目の好みの問題だと思いますので、見えていたほうが品質的に良いということはありません。両方木表のデメリットを挙げるとすると、テーブルの有効幅が少なくなる場合があるという点です。

例えば、奥行きの下辺が900mm、上辺が850mmの天板があったとします。テーブル全体の奥行きは、900mmということになるので、テーブルを置くスペースを考える際は900mmで考えなければいけません。ところが、実際にテーブルとして使える奥行きは上辺の長さである850mmということになります。耳が出ている部分は、機能面だけを考えると使えない部分になります。

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こちらはの写真は、2枚とも木裏を上にしたテーブルです。木口面が上辺の長い台形になっているのがわかると思います。耳の部分を横からみるとこんな感じになります。

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木表を上にしたものに比べると、耳の表面部分が見えずよりシャープなフォルムになります。また、両方木表の天板のデメリットとして挙げたテーブルとしての有効幅の点も、木表が上であれば解消します。2枚とも木表で使用すると、テーブルの全体の奥行き=テーブルとしての有効幅となります。2枚の板の幅がそこまで大きくないときは、テーブルとしての機能を重視して木裏を上にしてサイズを稼ぐようにすることもあります。また、中には耳の部分の損傷が激しく、埋める部分が多いときもそこが目立たないようにするために木裏を上にすることもあります。さらには、耳の傾斜が強い場合は、木表を上にすると、耳の部分が目立ちすぎてしまうので、木裏を使うということもあります。

最後に紹介するのは、片方が木表、片方が木裏を使うタイプです。木口方向からみると平行四辺形のカタチをしています。通常は、なかなかやらない方法ではありますが、ある条件で耳つき天板をつくるときにはこのようなカタチにすることがあります。それは、丸太の状態で上下に接している板を使って耳つき天板を製作する場合です。この場合、上下に接している板を本を開くようにして、そのまま接ぎ合わせるようにします。そうすると、左右対称に近い模様の天板が出来ることになります。このような天板をブックマッチ天板と呼びます。

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こんな感じになるのがブックマッチ天板です。木口面をみると平行四辺形になっているのがわかると思います。

今日は、耳のカタチに関する3つのパターンをみてきました。耳つきのテーブルがほしい場合、耳のカタチがどのようなものが好みであるかも気にしておくと良いでしょう。

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