2014.09.24

永見眞一著「ジョージ・ナカシマからミナ ペルホネンへ」

無垢材で出来た家具が好きな人や無垢材家具を検討したことのある人は「桜製作所」という家具メーカーの名前を聞いたことがあると思います。その「桜製作所」の創始者であり現会長である永見眞一氏がこれまでの「桜製作所」とこれからの「桜製作所」について書いた本を紹介します。

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本のタイトルは「ジョージ・ナカシマからミナ ペルホネンへ」です。

桜製作所といえばジョージ・ナカシマ氏がデザインした家具を製作する工房として有名です。ジョージ・ナカシマ氏もまた有名な木工家です。節や割れなどがあるダイナミックなウォールナット材を用いた家具で知られています。そのジョージ・ナカシマ氏がデザインした家具をライセンス契約を交わし、唯一作ることが許されているのが永見氏が経営する「桜製作所」です。

本著は永見氏とジョージ・ナカシマ氏のそれぞれの生い立ちから二人が出会い、一緒に家具を製作する過程での出来事が永見氏の言葉で書かれています。ジョージ・ナカシマ氏の家具の作り方はそれまでの図面を作成して加工するやり方とは180度変わったものでした。

テーブルだけは、ナカシマさんが来日されたときだけに作りました。まずはご自身で、板を選ばれます。ナカシマさんのテーブルは、板そのものがデザインですから。ニューホープから選んだ板を送ってくださいました。そして、うちの工場に来られてから、実際に「ここでカットして」とか「こんな脚をつけて」というデザインを決めて、図面を描いてくださいました。

板をどこでカットするのかが一番重要なんですよね。ナカシマさん自身もパッと「ここ」と浮かぶときと、何回も何回も見ながら、なかなか決まらず、でもある日ひょっと思いつかれるということもありました。デザインってそういうものだと思いますね。「見える」ときがある・・・・。

ジョージ・ナカシマさんの家具は独創的で、自然の力がみなぎっています。そういった家具は、あらかじめ決めたデザインでなくて、その都度その板が持つ魅力をどう引き出すのか、その板としっかりと向き合うことで生まれたものだといえます。

この姿勢は、我々が耳つきテーブルを作る際にも要求されることだと日頃から思っています。特に板の仕入れを担当している瑞木@相模湖は強く意識していると思います。

本著には、紹介したいジョージ・ナカシマさんの家具作りについて紹介したいエピソードがまだまだ書かれています。モノ作りを生業としている人だけでなく、家具を使う人、選ぶ人にも参考になる話もありますので、興味のある方は本著を手にとってみてください。

本著は、永見氏(桜製作所)とジョージ・ナカシマさんとの関わりだけでは終わりません。2013年に始まったファッションデザイナー皆川明氏とのコラボレーション家具の製作についても書かれています。皆川氏率いるファブリックデザインのミナ ペルホネンがデザインした布地を使ったスツールなどを発表しました。本著の後半は、永見氏と皆川氏の対談が収録されています。皆川氏家具のデザインについて「家具をデザインするときは「今」をみてデザインをされるのですか?それとも「何十年後にちょうどいいようにしよう」というように未来を見越して作られるのですか?と質問しています。その問いに対しての永見氏の答えが印象的です。

「桜製作所」はその時代を反映させることもあります。ただ、工法は新たなものを取り入れますが、デザインや形は、結局素直なものになっていく気がしますね。無駄をなくし、機能に近づけた方が形は美しくなると私は思います。そうすれば時代が変わっても飽きられませんし。中略〜そのとき、そのときに一生懸命作ったものは、いつまでたっても作った本人にとっては、愛着があるものだと思います。そして、そんな愛着はお客様にも感じて頂けるものではないかなと思います。

私自身は家具の作り手ではありませんが、無垢材の家具をデザインするということは、何十年も使われることを前提にする必要があると考えています。永見氏のいう素直なものになっていくというのは共感ができます。

本の最後には、ジョージ・ナカシマさんの家具を愛用しているという役者の役所広司のインタビューも掲載されています。

賢木@吉祥寺

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