家具屋で働く双子のブログ | 無垢の家具工房 ソリウッド・プロダクツ株式会社

無垢の木にこだわる家具工房で働く双子の兄弟がつづるブログです。
兄が相模湖工房から、弟が吉祥寺ショールームから日々の様子、木や家具のことをお伝えします。

機械・道具の最近のブログ記事

天然仕上げ砥石の代わりに人造砥石を使うことが増えてきました。【No.1969】

木で何かを作る上で欠かせないものは刃物です。木を切ったり、削ったりするのには刃物が必要です。今は機械化が進んでいますが、それでも刃物は必要です。昔は鉋や鑿しかなかったのでそれらを使用していましたが、現在は便利が機械や電動道具がありますので鉋や鑿、鋸といった手道具を使う機会は少なくなってきました。それでも、必要な時があります。木端を削ったりするのには鉋は便利です。早くて綺麗に削れますからね。

刃物は使うと摩耗します。そのため切れ味を復活させるためには研ぐ必要があります。これは手道具でも電動工具でも機械でも同じです。機械についている刃物を研ぐイメージはないかもしれませんが刃の研磨はとても大切な作業です。といっても多くの機械刃物は専門業者が研磨をしています。ソリウッドでも研磨屋さんに刃物を渡して研磨してもらっています。ですが、鉋や鑿は当然じぶん達で研ぎます。鉋や鑿の刃を研ぐために必要なのが砥石です。今日は砥石に焦点を当ててみようと思います。

砥石には天然砥石と人工砥石があります。なんだか木材の乾燥と同じようです。木材乾燥も天然乾燥と人工乾燥があります。話を戻すと、昔は天然の砥石しかなかったので当然天然の砥石を使用していました。いつ頃からかは分かりませんが、人工的に砥石を作る技術が開発されいまでは多くの人工砥石(人造砥石)が発売されています。

天然砥石に関しては、現在ではほとんど発掘されていません。まだ砥石の発掘をしている会社がわずかにあるようですが、量的にはほぼゼロに近いという話です。砥石の産地は全国にあるようですが、京都が有名です。その京都でも天然砥石の採掘は全然行われていないそうです。現在市場に出回っている天然砥石のほとんどが過去に採掘された砥石です。新規採掘が行われていない現状なので、市場から天然砥石が消滅するのも時間の問題だと思います。

砥石には、荒砥石、中砥石、仕上げ砥石があります。天然の荒砥石、中砥石は現在ではほとんど使用されています。荒砥石、中砥石はほぼ100%人工砥石が使用されています。仕上げ砥石だけは現在でも天然砥石を使用している人がいます。人工砥石の質が向上されてきてはいますが、やはり仕上げ砥石は天然砥石の方に分があるようです。ですが、本当に良い天然砥石はごく僅かでとても高価に取引されています。刃物との相性があるので、高ければ良いというわけでもないのが難しい所です。

ソリウッドでも天然砥石を持っていて使用していましたが、薄くなって割れてしまいました。その後は人工砥石にスイッチしました。理由は天然砥石が高価になっていて、良い物に出会える機会が減ってしまっている事と人工砥石の質の向上があります。さらには人工砥石の方が使いやすい点も見逃せません。天然の仕上げ砥石は硬いものが多いです。砥石が硬いと研ぎにくさを感じます。慣れていない人にとっては難しく感じてしまいます。ソリウッドでは木工教室の生徒さんも仕上げ砥石を使用するので、硬い砥石は避けたい所です。となると人工の仕上げ砥石の方が扱いやすくて良いですね。

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現在使用している仕上げの人工砥石です。いくつか使用していましたが、今はこちらで落ち着いています。硬さを感じることなく研げるので良いです。切れ味もまずまずでしっかりと刃先まで当てられれば問題なく切れます。

研ぎが苦手な人は砥石よりもまず研ぎ方だと思います。角度を変えずに研げるかどうかが鍵です。木工教室の生徒さんの研ぎを見ているとどうしても刃先を立てて研いでしまう人が多いです。刃先の角度が変わると仕上げ砥石を刃先まで当てるのが難しくなります。結果、研いだんだけど切れない刃物を使うという悪循環が生まれてしまいます。

というわけで今回のブログエントリーでは木工には欠かせない砥石について書いてみました。

瑞木@相模湖

家具の街 その1【No.1893】

吉祥寺ショールームにお越し頂いたお客様から「吉祥寺って家具屋さんが多いですよね!」とコメントを頂くことが多々あります。私もそう思います。吉祥寺では近年、新たにオープンする家具屋さんも増え、今では安めの家具やインテリア雑貨を置いている家具屋さんから、無垢材の家具や1枚板の大きな天板を扱う家具屋さんまで幅広いジャンルの家具屋さんが点在している家具の街といっても過言ではないといっていいくらい家具屋さんが存在します。


家具の街というと、大きくわけて2種類あると思っています。ひとつは家具の生産が盛んな地域です。もうひとつは、家具を販売する家具屋さんが多く集まっている地域になります。


日本国内には家具の産地として知られているもしくは街全体で家具の街を積極的にアピールしている都市がいくつかあります。中でも、北海道の旭川、岐阜県の飛騨高山地域、広島県の府中市、福岡県の大川氏が主要な家具の街として有名です。各地には数多くの家具メーカーが存在し、協同組合を組織し加盟事業者の発展に向けて日々活動をしています。協同組合の活動としては、協同での展示会の開催などどの地でも同じようなものが多いようですが、それぞれの都市によって、家具の製作に関する特徴があります。


北海道の旭川は、元々製材業者が材料を加工して家具作りをはじめたことがきっかけで広まっていたようです。そのため、北海道の豊富な木材を使った家具作りが特徴といえます。今では、北海道産の木材も供給量が減少していることもあり、全てが北海道産の木材を使っているわけではないと思いますが、他の地域に比べると無垢材を中心に製作しているところも少なくないようです。


岐阜県の飛騨は、ブナ材を曲げて曲線のフォルムの椅子をはじめとした脚物家具を得意としています。それ以外にも個人の作家さんが小さな家具工房を営んでいるところも多いイメージです。広島県の府中市では、婚礼家具のさきがけとして有名で収納家具を得意としています。福岡県の大川市では、木製の家具をまんべんなく生産しており、量産家具を得意として家具の生産量は全国1位とされています。


これらの家具の産地の他にも、伝統工芸に指定されている家具を製作する地域があります。比較的小さな棚類をケヤキ材などで製作する江戸指物や紀州桐箪笥などが有名です。


家具の産地として有名なのは以上の地域ですが、ソリウッドのような小さな家具工房を含めれば全国各地に様々な生産拠点があると思います。ソリウッドで扱っている椅子には3つのブランドがありますが、いずれも上に挙げた家具の産地とは違うと場所で製作されています。ISU-WORKSの椅子を製作している山上木工さんは、北海道の津別町にあります。同じ北海道の旭川には車で2〜3時間ほどかかるようなので旭川地域というには少し無理があると思います。とはいえ、札幌よりは近いので、旭川の家具組合が主催している展示会などには参加をしているようです。pepeチェアやUUチェア、pocketチェアを製作している宮崎椅子製作所は徳島県にあります。


20170419 1続いて家具を販売する家具屋さんが多く集まる家具の街をみていきます。

家具屋さんは全国どこにでもあると思いますが、特に有名なのが東京都目黒だと思います。目黒駅から5、6分ほど歩くと、目黒通りの両側に家具屋さんが目立つようになります。目黒通り沿いには約60の家具屋・インテリアショップが並んでいるといわれています。この目黒通りの家具屋街の特徴としては、様々な国や時代、新品から中古家具まで様々なジャンルの家具屋さんが集結していることにあると思います。アメリカンな家具、ミッドセンチュリーのデザイナーズ家具、イギリスのアンティーク家具、デンマークなどの北欧家具など既製品を扱うお店もありますし、オーダー家具やオーダーキッチンを注文で製作する家具屋など多岐に渡ります。ブラブラしながら家具を探すには最適な街だと思います。


そして、もう一箇所東京で家具屋が集中しているエリアを紹介したいと思います。その場所が吉祥寺です。吉祥寺については明日のブログに続きとして書きたいと思います。


賢木@吉祥寺

パワーをとるか、環境への配慮をとるか。 木材乾燥も次世代型への流れになっています。【No.1535】

makitaと言えば電動工具でおなじみですが、結構いろいろな道具を開発しています。ハンディタイプの掃除機でも有名ですよね。そんなmakitaさんから発売されている草刈り機を購入しました。ソリウッドにはエンジン式の草刈り機が2台ほどあったのですが、故障してからは鎌で草刈りをしていました。まあ鎌だと限界があるんで、それほど草刈りをしていなかったです。でもやっぱり草が伸びっぱなしというのはみっともないなあと思っていました。今年こそは草刈り機を買って綺麗に区盛りしようと決めていました。私はエンジン式の安い草刈り機を購入するつもりでいましたが、バッテリー式草刈り機の評判を聞いた社長の「makitaのバッテリーのにしよう」との一声で良い物が来ました!今日は少し時間があったので、試しに工房周辺の草を刈ってみました。良いですね。軽くて音がしないので。確かにバッテリーの持ち時間は短いですが、時々しか使わないのであれば充分かなと感じました。


いまやバッテリー式のチェーンソーも発売されています。もちろんエンジン式に比べるとまだまだパワー不足です。が、ちょっとした枝を切ったり、薪作りをしたりするには充分という話も聞きます。これからもバッテリー式の道具はどんどん進化していくはずです。私もエンジン式のチェーンソーを時々使用します。やはりあの音が気になります。かなり大きな音です。耳当てをすると音は聞こえなくなるのですが、私が聞こえていないだけで回りには響いている訳ですからね...

車も電気自動車が普及し始めていますが、思ったより普及が進んでいない感じがします。ハイブリッド車はだいぶ普及していますが、充電式の電気自動車はまだまだといった感じですよね。それでもやっぱり電気化は進んでいくと思います。ソリウッドには2台のフォークリフトがあります。1台はエンジン式、1台はバッテリー式です。パワーはエンジン式に軍配が上がります。が、使いやすさでいうとバッテリー式ですね。やはり静かなのが良いです。ただ、バッテリーが劣化したときにコストが掛かります。だいぶバッテリーが劣化してきていて、交換を勧められています。でも、バッテリーを全て交換しようとするとかなりの金額になります。いずれ交換しなくてはいけませんが...

こうした流れは実は木材乾燥の分野にも及んでいます。ひとむかし前はボイラーを利用した乾燥庫しか選択肢がありませんでした。今はいろいろと選択肢が増えています。ソリウッドが選んだのは遠赤外線ヒーターを利用した木材乾燥です。これらのヒーターは電気で動きます。

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ソリウッドでずっと使用してきた木材乾燥機です。ボイラーの熱を利用して庫内の温度が60度ほどにします。中に大きなファンがついていてそれが回って風を起こします。稼働させると燃料がかなり消費するのと、ファンの音が大きいのがネックになっていました。また、ボイラーの故障も多いのも悩みのタネでした。

そこで昨年に新たな乾燥庫に変えました。
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こちらが新しくした木材乾燥庫です。だいぶシンプルになりました。なんと駆体と木製です。中に遠赤外線ヒーターが貼られています。その力で木材を乾燥させます。庫内の温度は40度くらいです。これで運用コストも下がりましたし、音の問題も解消されています。単純な仕組みなので、故障もほぼないと考えられます。温度が低いので乾燥完了までの時間は掛かりますが、その分木材への負担も少ないので満足しています。

ソリウッドで販売している耳つきテーブルの多くはこうした次世代型の乾燥庫で乾燥させた板を使用しています。すでに多くの板を遠赤外線型の乾燥庫で乾燥させていますが、乾燥後に大きな問題が起きたことはありません。時間を掛けてじっくり乾燥させる分だけ木材への負担も少なくより良いテーブルになっているのではないかと考えています。このあたりの事はデータとして表れにくいのが少し残念です。あくまでも感覚的な印象でしかないので。それでもこの乾燥方法にはとてもメリットがあると考えています。もしまた新しい乾燥庫にするならこうした方式のものを選ぶと思います。

瑞木@相模湖

久しぶりに製材所に行ってきました。【No.1510】

昨日は久しぶりに製材所に行ってきました。過去に何度か製材所に行きましたが、丸太の製材に立ち会ったのはまだ1回しかありません。昨日も丸太の製材ではなく、厚い板を薄くするための製材でした。やはり丸太を製材するワクワク感にはかないませんが、それでも製材するというのはワクワクするのです。

大きな音を立てながら稼働する製材に向かって板が向かっていきます。そして全長に帯鋸が入るとガタンという音ともに手前の板が倒れます。そうすると中の木目が見えるようになります。この瞬間が製材の醍醐味です。

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木材を利用するうえで製材は欠かせない行程ではありますが、悲しいことに製材所の数がどんどんと減ってきています。新しい製材所が出来たなんて話は聞きません。聞く話はどこそこの製材所が廃業しただの、もう○○県には製材所がわずかしかないよといった話ばかりです。昨日行った製材所でもそんな話を聞きました。また、製材できる所の数が減ってしまったために製材所がパンク気味という話も聞いたことがあります。要するにたくさんあった製材所がどんどん廃業してしまうために、存続している製材所に仕事が集中しているというわけです。今まではすぐに製材してもらえたのに、今はなかなか製材してもらえないということもあるようです。景気の良い話のように聞こえますが、よく考えると寂しい話ですよね......

ソリウッドも元々は製材所をやっていました。現社長の代で長年続いた製材所をたたみ、家具工房として再出発をしています。家具工房をスタートさせた当初は製材所の建物を使用していました。現在はその建物もなくなり、製材所だった面影はみじんを感じられません。現在ソリウッドのショールームがある建物の奥に製材所があったのです。

製材の仕組みを簡単に説明します。製材にしようするのは巨大な帯鋸(バンドソー)です。帯鋸(バンドソー)という機械はこんなものです。
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これがソリウッドにあるバンドソーです。板を割ったり、あるカタチを作る際の粗切りに使ったりします。こうした機械は皆さんも1度は見たことがあるはずです。製材機はこれが巨大になったものです。

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左側にある緑色の機械が製材に使用する帯鋸です。鋸の刃が輪っかになったような刃物がグルグルと回っています。そこに丸太や板を送り込んでいきます。製材の肝は送り込みに使う台車です。丸太のような不安定は物をしっかりと固定できないといけません。なので、台車には丸太がしっかりと固定できるような仕組みがついています。

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台車の端にはこのようなコントロールボックスがついています。ここで丸太や板を固定する爪を動かしてしっかりと固定します。また何mm厚にするかなどの厚みを設定するのもこのコントロールボックスです。それらを設定したら、左に見えるレバーを倒します。そうするとこの台車が前に進んで、回転している刃物に入っていくわけです。製材する人はここで一連の作業をテキパキとこなします。製材という仕事はある程度数をこなさないといけません。なので、早く確実に製材できる人が重宝がられます。製材を依頼する人からすると早くこなせる熟練のオペレーターがいるととても助かります。なので、「あそこは数がこなせるからいい」とかいう話がでてきます。製材所によって製材に掛かる時間は結構違うようです。

製材した板はまだ乾燥が済んでいないので、工房にある乾燥庫に入れました。乾燥庫で乾燥させてようやく使えるようになります。今回製材した板はたいぶ水分が抜けているようで、含水率は高い所でも15%ぐらいでした。なのでそれほど時間も掛からずに乾燥を終えることができそうです。

久しぶりに製材所で製材に立ち会えて楽しいひとときを過ごすことができました。なかなか製材をお願いする機会はありませんが、たまにこういう事があると嬉しいです。

瑞木@相模湖

弓に使われていた木材はなんだ?【No.1471】

本を読んでいると突然知っている木の名前が出てくると、"おっ!"と思います。思わず付箋を貼ってしまいます。昨日読み始めたのは『戦争の物理学 弓矢から水爆まで平気はいかに生みだされたか』バリー・パーカー著・藤原多伽夫訳 白揚社 です。

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古代から現代に至るまでの戦争に使われた兵器を物理学の視点から眺めてみるという趣旨の本です。まだ読み始めたばかりですが、物理学を知らない私でも楽しく読めるように書かれています。さて、ヨーロッパの戦争でよく使われた武器にロングボウというものがあるそうです。いわゆる弓ですが、弓が長いのが特徴です。長いもので190cmもあったようです。このロングボウによく使われたのがイチイという木だそうです。イチイは針葉樹で日本にも広く生えているいる樹種です。古くからいろいろな用途に使われていた木材のようです。私自身は使用したことがないのでどんな木材か知りません。でも市場などで並んでいるのを見たことはあります。もちろん聞いたことはある樹種でしたが、弓に使われていたというのは初めて知りました。アイヌ語でイチイを表す"クネニ"という言葉の意味は弓の木だそうです。日本でも昔から弓に使われていたようです。

弓に使われるということは、折れにくい木ということでしょう。我々はよく折れにくい木のことを粘りがあると表現します。我々が使用している木材で粘りがある木の代表がタモです。タモ材は家具にもよく使われていますが、野球バットの素材としても有名です。バットに使われているのはアオダモという種類です。家具に使われているタモはヤチダモという種類です。アオダモとヤチダモが素材としてどのくらい性質が違うかは分かりませんが、ヤチダモも粘りがあって折れにくいです。逆に粘りがなく折れやすいのがウォールナットですね。家具に使用する分には全く問題ありませんが、細かい部品などを作るのにはウォールナットは向いていません。繊維同士の結びつきが弱くすぐに剥離してしまいます。なので、かっこいいからといってウォールナット材でバットを製作しても実用品にはならないでしょう。ボールを打ったらすぐに折れてしまうと想像できます。

ロングボウの話に戻りますが、イチイはイングランドなどでは珍しく手に入りにくかったようです。そこでイチイの代わりに使われたのがトネリコやニレだそうです。トネリコというのはタモの仲間ですね。やはり粘りがある木が代わりに使われています。ニレは家具にも使われています。国産のニレ材も昔は流通していたようですが、今はめっきり数が少なくなりました。時々材木市場で見掛けます。ソリウッドでもニレ材のテーブルは数多く製作してきました。しかし、最近はあまり作っていないですね。やはり手に入りにくくなったのが要因です。

では日本ではどんな木材が弓に使われていたのか?よく聞くのはアズサです。梓弓という言葉もあるようです。ではアズサはどんな木かというと、このブログでもよく出てくるミズメなんですね。ミズメはヨグソミネバリという名でも呼ばれています。ミズメは堅くて重い木の印象が強かったんですが、粘りもある訳ですね。

この前の材木市場で仕入れたミズメの板が相模湖工房に到着しました。ミズメの樹皮の内側は湿布のニオイがします。湿布に使われるサリチル酸メチルが含まれているんですね。
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積んである板の上の方がミズメです。剥がした樹皮のニオイを嗅くとミズメであることが確認出来ます。

ミズメの下にある白っぽい樹皮がついている木はカバです。一応ウダイカンバと書かれていますが、樹皮の様子を見るとダケカンバのように感じます。カバであることは間違いないですが...

その下の赤紫っぽい樹皮がついているのもカバ材です。若いカバは横に裂けるような樹皮をしていますが、樹齢が深くなると樹皮も変化していくようです。『樹皮ハンドブック』林 将之 著 文一総合出版 によるとダケカンバの樹皮は成木(直径30cm)と老木(直径50cm)では樹皮の様子が全然違います。おそらく下の方のカバ材の方が永く生きていたのでしょう。

さて、弓とセットで使用される矢にはどんな木材が使われていたのでしょうか?

『戦争の物理学』には、ヤマナラシ・ポプラ・ニワトコ・ヤナギ・カバノキなど多岐にわたる と書かれています。なんだか色々な木材が使われています。特に共通する特徴があるようでもないですね。弓に比べると矢の方はどんな木でも良かったのかも知れませんね。矢が柔らかすぎると振動が大きくなってスピードが遅くなり貫通力が弱くなるそうです。逆に堅すぎると振動は少なくなるが命中精度が下がってしまうようです。いろいろ木材を使ってどれがよいか試行錯誤していたのかもしれません。あるいは射手によって好みの矢があったのかも知れませんね。

今回は本の中でたまたま出会った内容を元に1つのエントリーにしてみました。昔から色々な木材が適材適所に使われていたんですね。恐らくはじめは試行錯誤をしていろいろな木材を試してみたのでしょう。そうした人々の試みのなかで適した素材が現代まで伝わっていることに"すごいな"と感じましたね、単純に。

瑞木@相模湖

長年使用した木材乾燥機をリニューアルしました。【No.1399】

なんだか暖かい日が続きますね。ようやく寒くなったかと思ったら大雨+気温20度越えとなんだかおかしな天気だったりします。昨日は本当に変な天気で、工房の機械の定盤が結露してなんだか作業しづらい状況でした。今日は1日晴れていましたが、太陽が出てる間は暖かく感じるような日でした。こういう気温や天気の変化は無垢材を扱う者にとっては厄介な問題です。温度や湿度が安定してくれると、木材も安定します。ところが、温度や湿度が急激にコロコロ変わると木材は水分を吸ったり、放出したりします。水分を吸うと木材は伸びます。逆に水分をはき出すと木材は縮みます。この伸び縮みが木材の反りや割れの原因になります。

しっかりと乾燥させた木材でもこの伸び縮みは起きます。だから無垢材は厄介な素材と言われています。でもそうした性質を理解して構造を考えれば問題なく使用することが出来ます。もちろん、長い間水平や直角を維持したり、僅かな反りすらも許されない部分に無垢材を使うことは出来ませんが...テーブルや椅子、棚などの家具に使用する分ならなんら問題はありません。だから、我々は無垢材を使用した家具を製作している訳です。

しかし、それもしっかりと乾燥させた木材を使用するという前提の上に成り立っています。木材を使用する際に乾燥はとっても大きなテーマなのです。でも木材乾燥なんてあまり注目されるテーマではありません。木工と言えば製作する事に関心がいきがちで、材料となる木材の乾燥まで詳しい人というのはなかなかいません。木材乾燥は家具製作者の仕事というよりは材木屋さんの仕事になっています。今では材木屋さんから簡単に乾燥した木材を購入することができますからね。

ソリウッドでは相模湖工房設立時から木材乾燥庫を導入して、みずから木材の人工乾燥を行ってきました。大規模な家具製作工場は木材の人工乾燥機をもっている事が多いですが、小規模の工房で人工乾燥機をもっている所は少ないでしょう。でも時代の流れでだんだんと木材乾燥は家具製作者から離れていっています。大きな木材乾燥機を持っていた工場もそれらを手放したという話をよく聞くようになりました。しかし、ソリウッドでは時代の流れに逆らって木材乾燥庫を増設して自ら板を乾燥させることに力を入れています。

この度、古くなった木材乾燥機を撤去して新たな木材乾燥庫を作りました。
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とってもシンプルな木材乾燥庫です。今までここに設置されてた木材乾燥機はこんな感じでした。

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従来の木材乾燥機はこうした機械仕掛けのものです。今でももっとも普及している蒸気式の木材乾燥機です。ボイラーの蒸気を利用して庫内の温度を高くします。また大型のファンを回して風を起こして庫内の空気を循環させていました。庫内の温度は60度ぐらいになります。このタイプの木材乾燥機は中温乾燥型と位置づけされています。庫内温度が100度近くになるタイプを高温乾燥としています。庫内温度を高くできるタイプの乾燥機はより大がかりな物になります。その分乾燥時間が短縮できるメリットはありますが、稼働コストが高くなるデメリットがあります。そしてなにより木材に与えるダメージが大きいです。

新しく導入した木材乾燥庫は蒸気式ではなく遠赤外線式です。なので構造は至ってシンプルです。遠赤外線式の木材乾燥庫はまだまだマイナーな存在ですが、これらかの時代にはとってもマッチした木材乾燥システムだと考えています。ボイラーを稼働させたりや大型モーターを回す必要がないため、稼働コストが安いです。二酸化炭素を排出することもありません。音もいっさい出ません。ただ、低温で乾燥させるために時間は掛かります。それでも外に置いておくよりかは遙かに早く乾燥します。

ソリウッドでは既にこのタイプの木材乾燥庫を稼働させていて実績を積み上げています。現在製作している耳つきテーブル天板は低温で時間を掛けて乾燥させた板を使用しています。低温でも含水率を10%以下に下げることは可能です。木材乾燥の歴史をみると、時間を掛けずに含水率を下げることに焦点が当てられていました。そのためにとても大がかりなシステムが必要となりました。でも今は大量生産、大量消費の時代ではなくなったので多少時間が掛かっても良いのでエコで質の良い木材乾燥をすべきだと思います。

新しい乾燥庫はまだ試験運転段階ですが、すぐに本格稼働できる予定です。試験的に動かし始めた2日前に乾燥庫内にいれたウォールナットの板は順調に含水率を下げています。元々含水率は割と低めで17%でしたが、丸2日で13.2%まで落ちています。これからいろいろテストして新しい乾燥庫の能力を確認していきます。

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瑞木@相模湖

人工の仕上げ砥石をいろいろと試しています。

鉋(かんな)や鑿(のみ)といった木工道具をきちんと使うためには刃物をこまめに研ぐ必要があります。鉋は切れない刃では木材の表面をキレイに仕上げることができません。穴をほったりするために鑿を使う場合は多少切れない刃でせ問題ありませんが、仕上げで鑿を使う場合は切れない刃では話になりません。

切れる刃をつけるためには研ぐ必要があります。研ぎには砥石を使います。普段使う砥石は2種類。中砥石と仕上げ砥石です。

中砥石は丸まった刃先を尖らせるために使う砥石です。切れなくなった刃はまず中砥石で研ぎます。中砥石は#800から#2000ぐらいまでの砥石の事を指します。昔は中砥石にも天然砥石を使っていたようですが、現在は人工砥石を使う事が一般的です。中砥石を天然砥石にしている人はまずいないと思います。

中砥石にこだわる人もいると思いますが、切れ味に直接関わる訳ではないので、研ぎやすい砥石を使うのがいいと思います。初心者は研ぎやすい柔らかい砥石が良いでしょう。僕が現在主に使用しているエース中砥はシャプトン社の刃の黒幕シリーズ#1000です。

刃の黒幕#1000は中砥石にしては硬めで、変形が少なく感じます。といってもこまめな面直しは必要ですが。そして、研磨力に優れていて早く刃返りがでます。

さて、本題の仕上げ砥石です。ソリウッドでは木工教室を開催しています。木工教室の生徒さんにはマイ中砥石を用意してもらっています。仕上げ砥石に関しては、共用の砥石をこちらで用意しています。永年使用していた天然砥石が薄くなって割れてしまったため、代わりの仕上げ砥石を探しています。天然砥石は個体の差が激しいのでなかなか良い砥石に巡り会いません。なので、人工の仕上げ砥石を探すことにしました。

最初に買ったのは、エビ印純白超仕上げ砥石です。硬めだったので慣れるまで時間が掛かりましたが、刃のつきが良くて気に入っていました。ところが、しばらくすると変質してしまい大部分がポロポロして柔らかい状態になってしまいました。はっきりした原因は分かりません。おそらく、長時間水に浸かり放しになっていたのが原因だと思います。人工の天然砥石は水に長時間浸けておかない方が良いと聞いていたので、この砥石も水に浸けて置かないようにしていました。しかし、多くの人が使うので、知らずに水に浸けてしまった人がいたようです。それに気づかず結果として長時間水に浸かってしまいました。それから少し経って砥石が変質している事に気づきました。
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しっかりと自分で管理できる状態で使用できるならいいのですが、木工教室のような環境ではちょっと厳しいですね。

現状ではまた同じ状態になってしまうことが予想されるので、出来れば変質しない砥石にしたいですね。なので他の砥石も試してみることにしました。仕上げ砥石が無いと困るので、近くのホームセンターで購入してきたのが、キングの仕上げ砥石です。これらよく売られている砥石で僕も使ったことがあります。可も無く不可も無くといった仕上げ砥石です。ただ、刃が付くまでに少し時間が掛かるのが気になります。

現在試しているのが北山という砥石です。柔らかめで研ぎやすいと思います。研磨力をそこそこあって中砥石の痕は比較的早めに消えます。後は変質しないで最後まで使えるといいのですが.........
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ホームセンターで購入した砥石よりは手応えを感じています。研ぎやすいので教室の生徒さんでも充分に扱えると思います。しばらく試してみます。

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木工教室OBのTさんから借りている天然の仕上げ砥石です。「使っていないから使ってみてよ」と借りているものです。結構硬めでなかなか手強い相手だなという印象です。天然砥石らしい刃あたりとも言えるでしょう。研ぐのに少し苦労しますが、研ぎ上がりの面の光沢感は自然な感じがします。人工砥石で研ぐとギラギラした面になりますが、天然砥石は柔らかい光り方をします。

前にシャプトンの砥石を購入した時に書いたブログエントリーがあります。砥石に興味がある方はこちらもご覧下さい。
刃の黒幕シリーズで新しい砥石システムを構築してみた。

刃の黒幕#1000と#5000は気に入っています。ただ刃の黒幕シリーズも水に超時間浸けると変質の恐れがあるようなので、教室用には向いてないかも知れません。

砥石選びは結構楽しいです。いろんな砥石を試してみたくなります...

瑞木@相模湖

鑿(のみ)を買ったらしなければいけない事。

木工をする際に使う道具類は単純な物が多いですが、永く使うためには最初に仕立てをする必要があります。基本的には使う人が知っていることを前提に販売されているので、説明書などはついていない事がほとんどです。道具屋さんでも聞かない限りは説明してくれることも少ないと思います。

新しく鑿(のみ)を1本購入したので、本日のブログエントリーは鑿の仕立てについて書くことにします。

鑿を買ったらしなければいけない事は、

1.カツラを落とす。

2.刃をつける。

の2点です。

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鑿の柄の先端に金属の輪っかが嵌めてあります。この金属の輪っかをカツラと呼んでいます。鑿は玄翁で叩いて使うことがあります。カツラが無い状態で柄を玄翁で叩くとすぐに柄がつぶれて裂けてしまいます。そうならないようにカツラがついています。

カツラがついていない鑿の柄もあります。そうした鑿は玄翁で叩く事を前提に作られていないので玄翁では叩かないでください。

購入時は、上の写真のようにカツラがピッタリと納まっています。このままの状態で玄翁で叩くと、カツラが叩かれて内側に伸びていきます。伸びた部分が柄にかぶさっていきそのうちにカツラがとれてしまいます。そのようにしてとれてしまったカツラをもう一度つけるのは大変です。伸びた部分をヤスリで削ってからでないとつけられません。

そうならないために、最初にカツラを下げておきます。
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一度カツラを外します。どうやって入れているか分かりませんがぴっちり嵌まっているので、手でスポッと抜くことはまず無理だと思います。いろいろ方法がありますが、僕はモンキーレンチでカツラの下側を押さえて上から細い金属の棒をそえて玄翁で叩いて柄をカツラから抜いています。

カツラを外したら、カツラが嵌まっていたすぐ下側を鑿で少し削ります。カツラが少し下がるようにするためです。少し削ったらその部分を玄翁で叩きます。木殺しという作業です。

そしてもう一度カツラをのせて、カツラを叩き込みます。昔はバールなどをかけて叩いていました。今はカツラ落とし専用の道具が売られています。それを被せて叩き込みます。

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どういう方法でもいいので、とりあえず写真のような状態にしてください。次に飛び出ている柄の部分を玄翁で叩きつぶしてカツラに被せるようにします。

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このようにしておくと、玄翁で直接カツラを叩くことがないので、カツラが伸びることがありません。

次に刃をつけます。刃をつけるとは研ぐとほぼ同じ意味です。今回購入したのは、1分鑿です。刃の幅が1分(約3ミリ)の鑿です。刃先を見てみると、とんがっていません。このままでは使えないので研いで刃先をとんがらせます。基本的に、鍛冶屋さんは、刃をつける所まではしないことが多いです。最終的には購入した人が研いで刃を付けることが前提になっています。

刃をつけたら使えるようになります。このような作業を使う前にしなければいけないんですね......

おまけですが、鑿の柄の部分はラッカーが塗られている事が多いです。これがテカテカしていてかっこ悪い。おまけに滑りやすくもあります。僕はシンナーでこのラッカーを剥がしてしまっています。今回のは、ラッカーではなかったですがなにか塗られていたので、シンナーで拭き取ってしまいました。まあ、流通段階で汚れないようにラッカーなどを塗って保護しているのでしょう。別にそのまま使ってしまっても構いませんが、気になる方はシンナーなどで拭き取ってしまいましょう。

ソリウッドでは、鉋(かんな) や鑿(のみ)といった手道具を使って家具を制作する木工教室を開催しています。最初の1年は基礎コースに所属してもらいます。基礎コースの1回目では今日紹介したような道具の仕立てを行います。興味のある方は木工教室のWebサイトをご覧下さい。2015年4月スタートの基礎コースの生徒さんを現在募集しています。

瑞木@相模湖

あまりに普及していて素晴らしさが分かりにくいカシ材。

カシという木をご存知でしょうか?家具に使われることはほとんどありませんが、ある部分にはよく使われている木材です。

カシは漢字で書くと樫。木に堅いと書きます。もうこれだけでこの木材の特徴が分かりますね。そう堅いんです。しかしそれだけではありません。堅いうえに粘りがあるのです。木材の強度にはこの粘りが強く関係してきます。堅くても粘りのない木材は強度が高いとは言えません。逆に言うと柔らかくても粘りがあれば、耐久性はよくなります。

堅くて粘りがあるため、カシはとても耐久性に優れています。そのため、道具によく使われています。我々が日頃使っているカンナの台はカシで出来ています。カシじゃないカンナ台はほとんどありません。ほぼカシです。カシには赤ガシと白ガシがあります。赤ガシは赤茶色をしてます。しかし、流通量が少ないので目にすることはほとんどなくなりました。一般的に普及しているカンナには白ガシが使われています。

他にも、ノミの柄や玄翁の柄にもカシが使われています。カシを使うことが当たり前になっていて他の材が使われいないので、カシが優れているのかよく分からないのが現状です。

例えば、玄翁の柄をウォールナット材で作ってみたとします。たぶん見た目はシックで格好いいはずです。でも、いつ折れるか怖くて使えないと思います。ウォールナット材は粘りが少ない材として有名です。家具などになるぐらいの強度はあります。が、瞬間的にすごい力が掛かる玄翁の柄などにするのには不安なんですね。ウォールナット材にノミで穴を開けようとすると穴の際が欠けてしまうことがよくあります。繊維の結びつきが弱いので、ポロッと欠けやすいんです。

という訳で、大工道具には丈夫なカシが使われています。大工道具だけでなく、古くから伝わる伝統的な道具にはカシが使われていることが多いです。特に柄に関してはカシの独壇場です。

餅つきに欠かせない杵の柄にもカシが使われています。吉祥寺ショールームのご近所の店の人達と毎年餅つきをしています。そのときに使用している杵は先はケヤキ材、柄はカシ材です。この組みあわせが最もポピュラーな組みあわせのようです。

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2つある杵のうちの1つは先端が割れてしまっています。割れた所から木屑が落ちて餅に入ってしまうことがありました。そこでなんとか木屑が入らないようにしたいということで相模湖工房に運ばれてきました。初めは接着剤でくっつけようかと思いましたが、うまく接着しそうにないので諦めました。そこで割れた部分は取ってしまい、残った部分も滑らかに整形することにしました。

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割れた部分を取り除きました。このままではまた割れてきてしまうので、滑らかに整えます。グラインダーで滑らかにしました。
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こんな感じになりました。見た目はかっこ悪いですが、使用上は特に問題ないのではないかと思っています。あとは使ってみてどうかですね。ケヤキもかなり堅い木ですので、杵や臼に使われています。それでも使っていくうちに先端はボロボロになってきます。そうなったら先をグラインダーで削ってあげれば、また使えるようになります。木屑が餅に入ってしまう場合は臼や杵のメンテナンスをしてあげましょう。

さて、ここで1つ疑問があります。堅くで粘りがあって丈夫なカシ材を杵の先に使わないのかという疑問です。

カシはそこまで大きく成長はしません。杵とセットで使われる臼にはケヤキ材が使われることが多いです。なぜ、ケヤキかというと、堅くで丈夫で大きく成長した木がたくさんあるということだと思います。臼にするためには太い丸太でなくては駄目ですよね。カシだと臼が作られるような太さの木というのが少ないので、ケヤキが使われるようになったのでしょう。臼にケヤキを使うから杵もケヤキで作ればいいだろうとなったのではないでしょう。根元の太い部分は臼に、先の細い部分は杵にというわけです。でも、柄はやっぱりカシだねということでしょう。

ネットで検索してみると、先もカシ材が使われた杵を発見することができました。しかし、そこには"この杵は石臼で使う事を前提にしています。ケヤキ材の臼に使用すると臼が割れてしまうことがあります"と書かれていました。カシはケヤキよりも堅いから臼に与えるダメージが大きいようです。恐るべしカシ材......

最後に、先日出張で名古屋に立ち寄った時に見つけた本を紹介します。
『大工道具の文明史 日本・中国・ヨーロッパの建築技術』渡邉 晶 吉川弘文館 
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大工道具の歴史について書かれています。実際にどんな感じに道具が使われていたかを表すイラストが充実しているのが良いです。パラパラとイラストだけみるだけでも楽しめます。興味のある方は本屋で手に取って見てみてください。

瑞木@相模湖

チェンソーを使い始めて、メンテナンスの重要性を改めて知ることができました。

昨日のブログエントリーでは耳つきテーブルを製作する大きな板を荒木取りするために、チェンソーを使うということを書きました。耳つきテーブルの製作強化ということで僕もチェンソーを使って荒木取りをする作業をしています。チェンソーという道具は今まで使ったことがありませんでした。チェンソーを使っている現場はたくさん見てきました。見ていると簡単に切れてるように感じますが、実際に使ってみるとなかなか難しいです。

しかし、チェンソーを使い始めた事で道具の手入れの大切ということを改めて学びました。ソリウッドにあるチェンソーはかなり古いモデルですが、耳つき板をカットする程度にはまだ充分に活躍してくれます。でもあまり手入れはされてはいませんでした。毎日のように使う道具ではないので、忙しいなかついつい手入れを怠ってしまいます。

そこでチェンソーを知る意味も込めて掃除をしました。チェンソーはオイルを刃に供給しながら動きます。そのため、オイルを含んだ木屑が本体の至る所に付着してしまいます。オイルを含んでいるのでベッタリとくっついて取るのに苦労します。バラせる部分はバラしながら付着した木屑を取り除きました。これだけでもだいぶ綺麗になりました。掃除をしただけでも、愛着が湧くものです。メンテナンスをすることで愛着が湧くようになるという話はいろいろな所で語られています。今回僕はチェンソーの掃除をすることで愛着をもって接することができるようになりました。やっぱりメンテナンスは効果絶大です。

ソリウッドで製作しているオイル仕上げの無垢材テーブルも永い間綺麗に使うためにはメンテナンスが欠かせません。使用していると段々とオイル成分が抜けて潤いが足りなくなります。人間の肌と同じように無垢材にも潤いは大切です。潤っているからこそスベスベの心地よい触り心地を楽しませてくれるんです。

こまめにメンテナンスをすることで1回のメンテナンス時間は短縮させることができます。チェンソーのようにたまりにたまった木屑を掃除するのは時間が掛かります。面倒でもあります。多少面倒でも使ったらウエスで木屑を拭き取っておくだけでも効果があります。メンテナンスの基本はこまめに行うです。オイル仕上げの無垢材テーブルの場合は半年から1年に1回ぐらいはオイルで潤わせてあげてください。

話をチェンソーに戻します。チェンソーも刃物なので、使っていくうちに切れ味が落ちます。カンナやノミといった大工道具と同じで切れ味が落ちたら研ぐ必要があります。チェンソーの場合はノコギリと同じように目立てという作業をします。(替え刃式ノコギリの性能が上がったため、ノコギリの目立てという習慣は滅びかけています。目立て職人も激減しています。)

皆さん、チェンソーの目立てはどう行うか知っていますか?

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チェンソーの目立てにはこういった丸棒のヤスリを使います。チェンソーの刃の事をソーチェンと呼んでいますが、ソーチェンにはいくつかの刃が付いています。この刃の1つ1つを棒ヤスリでシュッシュッと研磨します。(ノコギリの目立ても同様の作業をします。ノコギリの刃1つ1つにヤスリを当てて研磨します。 ノコギリの目立てに使用するのは板状のヤスリです。)


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慣れている人は棒ヤスリだけで正確に研磨することが出来ますが、初心者にはこのようなジグが心強いアシストをしてくれます。ソーチェンの目立てで重要なことは、ヤスリを当てる角度のようです。刃の形状によって違いますが、この刃の場合は30°の角度でヤスリを当てていきます。この状態で3回ぐらいシュッシュッシュッとヤスリを当てていきます。

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バーを固定してなるべくぶれないようにしてヤスリを当てていきます。僕自身はまだ全然慣れていなく要領を得ていません。しかし、こういうのは場数を多く踏むことで上達していくはずです。

今回ソーチェンを新しくしました。今まで使っていたソーチェンは刃も小さく(目立てをすれば当然小さくなって行きます。)なっていて、大きさも不揃いになっていました。これでは切れ味が期待できません。実際に今までの刃と新しい刃を比べると切れ味が全然違いました。切れる状態を知らなかったので、こんなもんかなと思っていました。しかし、新しい刃の方が圧倒的に良く切れました。よく切れる刃と切れない刃では作業効率が全然違います。新しい刃にしたら明らかに掛かる時間が減りました。やっぱりメンテナンスは重要です。

自分で目立てした刃ではまだ切っていません。よく切れるように研磨できているのか?時間が空いたときに検証してみようと思っています。目立ても奥が深くて完璧な研磨を身につけるには何十年も掛かってしまうでしょう。とりあえずどうやって研磨すれば切れ味がよくなるのか?当分はこのテーマに答えを出せるように修行していこうと思っています。

瑞木@相模湖