2018.12.17

【No.2496】チェリー材とヤマザクラ材の違い。

ソリウッドで人気のチェリー材は北米産の木材です。チェリーを日本語に訳すと桜です。要するにチェリー材はアメリカやカナダに生えている桜の仲間になります。日本には同じ種類の桜の木はないそうです。日本で家具用材として使用される桜はヤマザクラになります。日本では桜=ソメイヨシノのイメージがあります。ソメイヨシノは公園などに多く植えられていて、お花見の対象になる木です。至る所に生えているので、家具の材料にもなっているだろうと考えている人は多いかと思います。でも、ソメイヨシノは家具用材としては使われることはほとんどありません。家具に使用することはできますが、家具用材として流通することはほとんどありません。
というのもソメイヨシノは観賞用改良された品種であって、家具などに使うことは想定されていないのです。大きく成長したソメイヨシノは中が空洞になり易いです。また、あまり高く成長しないので長さを取ることができません。ソメイヨシノの幹をよく見てもらうと分かりますが、あまり高くなく結構曲がっています。なので製材して板にするのには向いていません。

よって家具用材として流通しているのはヤマザクラという桜の木になります。ヤマザクラは日本の山に結構生えているようですが、残念ながら近年はあまり良質なヤマザクラ材は手に入りにくくなりました。ヤマザクラは家具として使われる材料ですが、板にして乾燥させるのにあまり向いていません。ヤマザクラの板は乾燥中に割れたり、大きく捻れたりしやすいです。特に目が荒いヤマザクラ材はうまく乾燥させることがとても難しいです。私も製材されたばかりのヤマザクラ材を仕入れて何枚も乾燥させています。が、乾燥中に捻れたり、割れたりして使い物にならなくなった板が多くあります。特に目の荒いヤマザクラ材はかなり捻れて割れます。これは経験して分かったことです。目が詰まったヤマザクラ材は目の荒いヤマザクラ材に比べると捻れは少ないです。どのくらいなら目が詰まっているのか、どのくらいから目が荒いはうまく説明することはできません。が、なんとなくこれは怪しいというのは分かります。
一方、北米産のチェリー材は乾燥中に割れたり捻れたりすることは少ないです。全くないわけではないですが、割れたり捻れたりする程度は他の樹種の木と比べて特に多いということはないです。私の経験では乾燥させやすい部類に入ります。同じサクラの仲間であるのに、こうした性質の差があるのは面白いです。
ヤマザクラ材とチェリー材の木目や色は似ています。でも、違いはあります。ヤマザクラ材とチェリー材の板が2枚ある状況ならどっちがヤマザクラ、どっちがチェリーというのは多分分かると思います。これも言葉では説明しにくいですが、経験上なんとなく違いが分かります。強いて言うとヤマザクラ材の方が荒々しい雰囲気を持っています。比べるとチェリー材の方がおとなしい印象を受けます。色もヤマザクラ材の方が緑ががっている感じがします。サクラ系の木材は少し緑がかっている色をした部分があります。チェリー材にもそうした部分があるのですが、ヤマザクラ材の方が多い感じがします。
ということで同じ桜の仲間であるチェリー材とヤマザクラ材について書きました。ソリウッドではチェリー材のテーブルや椅子を数多く扱っています。が、ヤマザクラ材は扱いがとても少ないです。ヤマザクラ材のテーブルをもっと作りたいという願望はありますが、質の良いヤマザクラ材が手に入りにくい状況になっています。材木市場で仕入れたヤマザクラ材は時間をかけてゆっくりと乾燥させています。急激に乾燥が進むと割れや捻れの原因になります。なので、動きやすい樹種に関してはなるべく時間をかけてゆっくりと乾燥させるのがセオリーです。うまく乾燥できれば耳つきテーブルが数台製作できる量のヤマザクラ材はあります。ので、いずれヤマザクラ材のテーブルを作る予定です。

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