2019.06.10

木材を乾燥させるためには意外と時間が掛かるんです。

※2019年6月10日 改訂 : 内容の一部を変更しました。

今日は木材を使えるようにするための前段階である”木材乾燥”について書きます。

まず知ってもらいたいのは木を木材として使用できるようにするには時間が掛かるということです。

使われる用途によっても違いますが、木が伐倒されてから木材として使用できるまでに少なくとも半年から1年は掛かります。板によっては乾燥が充分にできるまでもう少し時間が掛かることもあります。

こういう話をすると、「そんなに時間が掛かるんですね。」と反応する方が多いです。

木材は我々の生活で様々な場面に使われていて身近な存在ではありますが、意外と知られていない事が多いです。木を使うに当たってこのような事も多くの人に知ってもらいたくて日々情報発信をしています。

伐倒された木はなるべく早く製材した方が良いです。丸太にまま放置しておいても木口(横断面)から無数の割れが生じてしまいます。丸太のまま保管しておいても内部の乾燥はほとんど進まないと思います。木材の水分は空気に触れることで外部へと逃げていきます。

木材の乾燥方法は大きく分けて2つあります。天然乾燥と人工乾燥です。

天然乾燥は、屋外に板を桟積みして置いておき、自然と水分が抜けるのを待つ方法です。

人工乾燥は、木材乾燥機などを使用して環境をコントロールして木材の水分を抜く乾燥方法です。

一般的に木材乾燥をする場合は、天然乾燥と人工乾燥を組みあわせています。

我々ソリウッドでも天然乾燥と人工乾燥を組み合わせて木材を乾燥させています。

仕入れてきた未乾燥材は工房の敷地内に桟積みして保管しておきます。こうした状態で半年から1年ほど天然乾燥をします。樹種や板の厚み、置いておく場所によっても乾燥進度の差はありますが、天然乾燥で含水率が20%台になるのを目安にしています。

その後、木材乾燥庫に入れて人工乾燥をさせます。

ソリウッドで採用している木材乾燥庫は低温乾燥タイプで、時間は掛かりますが木材への負担が少なくて済みます。だいたい2週間から2ヶ月ほど乾燥庫に入れて水分を抜いていきます。乾燥庫にいれておく時間は樹種や板の厚み、乾燥庫に入れた時点での含水率によって異なってきます。大量に木材を乾燥させる場合は乾燥庫に入れておく期間が決まっていますが、ソリウッドではそれほど量が多くないので、1枚1枚の板の含水率を計測して乾燥終了時期を決めています。なので、1枚1枚乾燥庫に入れておく期間が異なります。

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木材を乾燥させる要素は3つあります。

気温・湿度・風です。

気温が高く、湿度が低く、風通しがよいほど乾燥進度は早くなります。ただし、急激に木材を乾燥させてしまうと割れてしまいます。なので、木材乾燥庫に入れる場合ははじめは温度を低めに設定して湿度を高めた状態にしておきます。そこから徐々に温度を高めていき湿度を下げていきます。

板が大きく割れてしまうとせっかく幅広い板も幅広く使用できなくなってしまいます。なので、なるべく割れを少なくしてロスを減らすことが良い乾燥となります。ロスを減らすために様々な工夫してきましたが、効果抜群といった方法はまだ見つかっていません。

木口(横断面)は水分が抜けやすいため、乾燥初期では木口から水分が抜けるのを防げばよいだろうと考えて、木口をラップでグルグル巻きにして乾燥庫に入れたことがあります。結果としては大きく割れることはなかったですが、同じ丸太から製材されたラップを巻いていない板も割れてなかったので、ラップの効果があるのかないのかはよく分からなかったです。ラップを巻く面倒くささを考えると得られる効果は少ないと感じて今は行っていませんが…でもこの板をどうしても割れてほしくないといったお気に入りの板があった場合は念のためラップを巻くこともあります。

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木口にラップを巻いて割れを防ぐという考え方は理論的には間違っていないと思います。

というわけで今日のエントリーは木材乾燥に関する内容でした。木材は使用出来るようになるまでに時間が掛かるということを知ってもらえればよいかなと思っています。

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