2013.09.30

無垢材テーブルの価格差には”はぎ”が関係している。

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ソリウッドでは様々の価格帯の無垢材テーブルを製作販売しています。10数万円から50万円ぐらいの幅があります。その価格差を生み出してている要因はなんでしょうか?

材種、大きさが変われば、当然値段の差がでます。しかし、材種、大きさも同じなのに価格差が結構ある場合があります。そういう場合は”はぎ”枚数が関係していると思っていいはずです。

“はぎ”は無垢材テーブルを吟味する上で重要な要素

“はぎ”という言葉を初めて聞く方も多いでしょう。普段の生活で使われる言葉ではないので、そういう方が多くて当然です。でも、無垢材テーブルや無垢材を家具を吟味する上では重要な要素です。だから今日はその”はぎ”について書きます。

“はぎ”とは、幅方向に板を接着することを指します。はぎをしないテーブルが1枚板テーブルです。2枚の板を幅方向ではいだテーブルが2枚はぎテーブルです。3枚を幅方向で接着したなら3枚はぎテーブルと言います。

1枚板テーブルと呼ばれているテーブル天板は幅800ミリ以上ある板で、そのままテーブルとして使える大きさを持っている板が使われています。1枚でダイニングテーブルになる大きさまで成長する樹は限られています。国産材だとケヤキ材とトチ材。北米産のウォールナット材。あとはアフリカ産のブビンガ材などになります。タモ材、ナラ材なども1枚板テーブルになる板が昔はありましたが、現在ではほとんど見かけません。北米産の代表格チェリー材も1枚板テーブルになる幅広い材はほとんど流通していません。

今後、1枚板テーブルになる幅広い材は手に入りにくくなる一方だと言われています。原木市場に出品される丸太の太さは細くなってきていて、数も相当減ってきています。アフリカ材はまだ幅広い材が多く残っていると言われています。が、それも時間の問題だと思います。

そこで幅が狭い板を合わせてテーブル幅にするのが”はぎ”という技術です。接着剤を使って板を接着します。現在では接着剤の強度が上がり、接着面が剥がれるということは少なくなりました。ただ一般的な木工ボンドでは、時間が経ってはいである面が剥がれる心配があります。ソリウッドでは水性高分子イソシアネート系接着剤という種類の強力な接着剤をはぎ用に使用しています。この接着剤はしっかりと接着できていれば、木材より強固になると言われてます。はぎが切れる問題もほとんどありません。

ソリウッドでストレートカットテーブルと呼んでいる商品は通常5枚か6枚の板をはぎ合わせています。幅850ミリのテーブルだと約130ミリから200ミリ幅の板をはぎ合わせて製作しています。板の幅は材種によっても変わってきます。ウォールナット材は白太と呼ばれる白い部分を除いて製作するので、1枚の幅は狭くなってきます。タモ材やメープル材は比較的幅広い板の入手が可能なため、1枚の幅は少し広めになります。

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“はぎ”と集成材はどう違うのか。

さて、皆さんの中に集成材とはどう違うのかという疑問を抱かれる方もいるでしょう。はぎ=集成材と思っている方もいるはずです。

はぎも集成材も接着剤で接着していることは一緒です。でも、はぎと集成材は違います。

はぎは幅方向のみ接着剤を使用します。

一方、集成材は幅方向だけでなく長さ方向も接着しています。長さ方向も接着するというのが、はぎと集成材の決定的違いです。

また、一般的に集成材は幅50ミリ程度の材を使います。幅100ミリを越える材を用いた集成材はあまり見かけません。

単純に長さ方向を接着剤ではぐことはしない

もう一つ、疑問を持たれる方がいるかと思います。なぜ単純に長さ方向にはがないのか?という疑問です。これは木と接着剤の関係が大きく作用しています。長さ方向ではぐ場合、接着面は木口と木口になります。ところが、木口と木口の接着では接着剤が効きません。今のところ、木口同士の接着に効果がある接着剤は出回っていません。木口は導管と呼ばれる木材組織の断面が集まっています。ストローをまとめって持って上から覗いてみた光景と思ってください。そこに接着剤を塗ってもストローの中に接着剤が流れ込んで表面にはほとんど接着剤が残らないでしょう。木材の木口面でも同様に導管が接着剤を吸ってしまい表面に接着剤が残りません。そのため強度が得られません。

集成材を観察してみると長さ方向ではいでいる箇所が横並びになっている場所はないことが分かります。必ず長さ方向の接着面が並ばないように作られています。もし、長さ方向の接着面が揃ってしまうと強度が得られず、衝撃を与えるとその箇所で折れてしまいます。

木口同士を接着剤で接着することは出来ない事は覚えていても損はないでしょう。もし、ご自分で木工をされる際はこの事を忘れないでください。どうしても長さ方向をはぎたい時は接着剤+金具で補強するべきです。

価格は安くなるはずだけど作りません

はぎ枚数はそのまま、値段に反映してきます。1枚板が一番高く、つぎに2枚はぎ、3枚はぎと続きます。はぎ枚数は多くなれば細い材を使っていることになります。幅広い材と狭い材では価値が変わってきます。幅広材が採れる太い丸太は高価です。そのため同じ幅850ミリのテーブルで2枚はぎと15枚はぎでは値段に差がでることは当然です。
その事を頭に入れておくと無垢材テーブルの値段の差がわりとすんなりと理解できるはずです。

ただし、ソリウッドでは価格が抑えられるはずの10枚から15枚をはぎ合わせるダイニングテーブルは製作しません。通常、材木屋さんから購入する木材の幅は100ミリから250ミリぐらいの幅の板です。使える幅が150ミリある板をはぎ枚数の多い低価格のテーブルを製作するためにわざわざ70ミリ幅の2枚にするということは考えにくい行為です。よってそのような幅の板は端材と思われます。割れや節を省くために切った場合などが考えられます。端材を有効利用しているので、それはそれで価値はあります。しかし、ソリウッドの製作工程や設備だと、こうした板がテーブルを製作出来るほどの量がでません。よってなるべく安いテーブルをお探しのお客様に10枚から15枚はぎのテーブルを提案することはしません。そこはご理解頂きたいです。

瑞木@相模湖

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