2013.09.24

チェリーの板が天然乾燥1年で含水率10%になった!

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去年の10月に買ったチェリー材の板を屋外で天然乾燥させていました。本日その含水率を計ったところ、約10%でした。乾いている!

天然乾燥では15%ぐらいまでしか乾燥しないと言われています。厚生労働省認定教材※にも「天然乾燥によって到達できる含水率は、気乾含水率、すなわち14~16%が限界である。」と書かれています。私の経験に則して考えても15%以下にはならないと考えていました。2年ぐらい天然乾燥して18%ぐらいまで下がっていればいいかなと思っていました。

無垢材家具に使う材は人工乾燥が必要

建築材の含水率は20%を切っていれば乾燥材です。でも、室内で使う家具の場合は10%前後まで乾燥させないと危険です。最近の住宅は高密度で作られていて、室内はエアコンがついているのが当たり前です。昔の住宅に比べると室内がかなり乾燥しています。だから家具に使う木材は10%まで乾燥させた方が安心です。

人工乾燥技術のなかった頃の住宅は、今の住宅よりも風通しがよく完全に閉め切れる状態ではなかったはずです。そうした住宅の中であれば、天然乾燥のみの木材で家具を製作しても問題なかっと思われます。

含水率を10%付近まで下げるためには、人工乾燥が必要になります。天然乾燥のみで10%まで下げるのには相当時間が掛かります。さらに時間を掛ければそれだけ下がる保証もありません。5年経っても15%までしか下がっていないということがあり得る訳です。

だから、ソリウッドで使う木材は人工乾燥したものに限っています。天然乾燥の木材を買った場合は弊社の木材乾燥庫にいれてから使用しています。天然乾燥しかしていない材木屋さんの乾燥材は当てになりません。各社判断基準がバラバラです。多くの材木屋さんは天然乾燥の期間を決めているようですが、乾燥期間だけで乾燥しているか判断するのは危険です。天然乾燥材に含水率計を当ててみるとだいたい15〜18%ぐらいです。このまま使うにはちょっと怖いので1週間程度人工乾燥庫に入れておきます。

人工乾燥材を購入した際も含水率のチェックはしています。板の中央部は乾燥しにくいので、そこに含水率計を当てます。数値が高い場合は天然乾燥材と同じように人工乾燥庫に入れてから使います。

チェリー材は乾燥が早い

そして、冒頭にチェリー材に戻ります。厚さ60mmの板です。厚いとそれだけ乾燥しにくいと言われています。60mmの板が1年で10%まで下がるとは驚きです。チェリー材は乾燥の早い樹種なのでしょう。チェリー材の乾燥経験は少ないのでこの情報を貴重です。

同じ北米産でもウォールナット材は乾燥に時間が掛かります。辺材と呼ばれる周辺の白い部分はかなり早く乾燥が進みます。しかし、中心部の心材と呼ばれる色の濃い部分の水分はなかなか抜けていきません。辺材の含水率は7%なのに、心材の含水率は18%なんてことが普通に起きます。そのためウォールナット材は心材の含水率を計らないと乾燥したかの判断ができません。気をつけましょう。

相模湖工房の天然乾燥は条件があまり良くない

正直に言うと、相模湖工房での天然乾燥は条件があまりよくありません。風が通る方向に対して垂直になるように桟積みした材を置くのが理想です。工房の敷地は北側は建物、南側は山で風通しがよくありません。東西方向はよく風が抜けます。その風の抜け道に垂直になるように材を置くのが効率が良い置き方です。しかし、車の移動などを考えるとその向きで板を置くことができません。そのため、あまり風が抜けない場所で天然乾燥をせざるを得ない状況です。

にも関わらず、このチェリーの板の乾きは非常に良かった訳です。教材に限界と書かれた数値を軽く越えて乾いています。同じ時に買った1枚のチェリー材も同様に乾いています。同じ時期に買ったウォールナットの板も同じ場所で天然乾燥させていましたが、こちらはまだ含水率25%です。やはりチェエーは乾燥が早い。

天然乾燥だけでも含水率が10%付近まで下がる事があると分かったことは大きな収穫です。ただし、チェリー材が特別と考えるのが妥当です。チェリー材は1年置いておけば、かなり含水率が下がる事が分かると、乾燥計画を立てる際に役立ちます。乾きにくい他の材を優先的に人工乾燥庫に入れたほうが効率が上がるはずです。

※『木工材料』独立行政法人 雇用・能力開発機構 職業能力開発総合大学校 能力開発研究センター編

瑞木@相模湖

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