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木の話

2011/07/22 木の話 1

樹木は、葉の葉緑素と太陽光線により光合成を行い、土から水分を吸収し、高く、太く、成長します。あの太い幹のなかに水が満ちているのです。
伐採、製材をへて、板になっても、水分は木の細胞間、細胞内に溢れるようにあります。徐々に、水分は空中に蒸発し、大気中の湿度と平衡するまで乾燥します。その時、構成する細胞は収縮してゆきます。

長さ、幅、厚みの3方向で収縮の率が異なり、変形をおこします。木材の異方性といわれ、反り、よじれのもとになります。
又、乾燥の速度が部分によって異なり、早めに乾くところ、水分が残りやすいところとまちまちで、つまり、乾燥して収縮したい部分、水分を残しておいて、収縮したくない部分が隣あわさったりします。
これにより、細胞と細胞がくっつきあっていたのが離れ、割れという事態にいたります。割れて空になった部分は右か左かにくっついていったのです。

こうして板は、乾燥につれ、不規則な細胞収縮が起こり、結果、反り、よじれ、割れるのです。板にとって当たり前のことなのです。良材、悪材の区別なく、本性に従って、こうしたことは起こります。まれに、よじれや割れが少ない材を良材と褒めているにすぎません。

樹木が成長するには葉っぱが必要です。葉っぱが多ければ、成長が早いのです。それには、枝を沢山出して多くの葉をつけ、繁茂することになります。枝の痕跡が節です。
繁茂すれば幹が太い大木になり、いわゆる1枚板がとれるのです。繁茂するには、となりに友木があっては邪魔なので、大木は孤立木が多いのです。
幅広い板には、おおきな節がつきものです。節は枝の痕であり、その枝が木を太く、高く、大きくしたのです。
板に木目があるように節もあるのは当たり前のことなのです。

目利き、という言葉があります。4方無地(節がないこと)がとれる桧の柱材用の丸太が判る、つき板(超薄くスライスして合板にはる)用の広葉樹が丸太で判る、材木商を意味する場合もあります。そうしたものが良材であるとすれば、悪材もあるはずです。良材ばかり求めないで、悪材も捨てがたいのです。良材、悪材は言葉が悪いので、すんなり材とがたぴし材といいます。

がたぴし材とは、目が粗い、堅くて加工し難い、どんどん反りよじれる、そこここに大節小節がある、虫くいもある、皮の部分が入り込んでいる、....。
こんな板には、自然の摂理を感じ、見ていて飽きず、喜びすら感じるのです。

すんなり材とがたぴし材の最大の違いは年輪幅です。広葉樹の場合、年輪は水分を運ぶ導管という空胴の組織と木質部から出来、1年輪の導管断面積の和は樹種により一定と考えています。年輪幅が1mmと3mmを比べると後者のほうは木質部が多いのです。年輪幅が広いと切ったり削ったりするとき堅く、持つと重く、木質部が多い分、木の動きも大きいのです。年輪幅が広い、すなはち、成長が早いとしらたが大きく、節が太く沢山あり、がたぴし材の最初の関門を通過しています。
森の端っこで、自由に枝葉をのばせ、強い風に耐え、寒暖の激しい温度差に耐え、生き抜いた強い広葉樹こそ、がたぴし材の特徴です。
がたぴし材は複雑な要素に満ちていますが、なによりありがたいのは、今日、日本で、出会うことが可能なのです。昔、こんな木切っても利用価値が低く、お金にならない、と残した木が今日貴重になってきました。

板は自然の産物ですから、なにもかもを欠点とせずに楽しむことが大切です。


すんなり材は単純です。
年輪幅は比較的に狭く、細胞膜が薄く、木質部が少なく、そのため、加工しやすく、いわゆる、狂いが少ないのです。判断する簡単な方法は、持ったとき意外と軽く感じるかどうかです。ここでちょっと脱線。
炭火はおこるにつれ、灰に覆われ、熱度がおちます。炭火焼きの料理にやさしさをもたらします。炭火と鉄瓶でわかしたお湯はガス火のお湯と違いがあります。いなわらで炊いたご飯、灰をかぶって温度が下がる課程が科学で表現できないお米の炊き方になります。蒔きの暖、蒔きで沸かしたお風呂、共通のなにかを感じます。それは有機物の安らぎといったものでしょうか。

深い森の中で、適度に距離をおいた友木に囲まれ、そしてなにより、夏の夕べ、陽が沈み、暗くなる直前のほのかな明るさが静かにつづく時間の長さにさらされた木、こんな木こそがすんなり材になるのです。
自然界の鋭くとがっていない状況を受けた材はすんなり材の特徴です。

こんな土地に育った木に出会ったのは、45年間でほんの数本。
栗、塩地、楢、みずめざくら、楢、欅。丸太の姿に鋭くとがっていない状況が染み付いていました。今日、日本で出会うのは難しい。